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電車で縦断できない東京西部を行く。
自転車らしい発見のある不思議旅。 

text by

疋田智

疋田智Satoshi Hikita

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photograph bySatoshi Hikita

posted2012/03/27 06:00

電車で縦断できない東京西部を行く。自転車らしい発見のある不思議旅。<Number Web> photograph by Satoshi Hikita

東京西部を縦に走る間、たくさんの鉄道路線をまたぐことになる。写真は世田谷線のピカピカの新型車両。こういう鉄道と自転車がもっと気軽にリンクするようになれば、都市交通網はますます快適になるに違いない。

感涙! 子載せトレーラーが車道を勇ましく走行!

 さて、経堂から梅ヶ丘を通って、環七(環状七号線)を通って駒沢方面に行く途中、またまた嬉しい光景を見たよ。

 30代半ばあたりだろうか、若いお母さんが、小さな子供2人をトレーラーに乗せて走っている姿だ。

 しかも、驚け、その若いママは、停車中こそ歩道にいたものの、横断歩道を渡ると、堂々車道を通って、目的地に向かわんとしているのだ。

 引っ張っている自転車は、ちょいとオシャレな電動アシスト車である。その凛とした姿は、まるでデンマーク人、まるでドイツ人のようだった。

 うわーすごいですねぇ、と話しかけようとしたら「急いでますから~」とばかり、角を曲がって行ってしまった。私のあまりに怪しすぎる風貌は、こういうときに損をする。

 だからして、ここからは私の勝手な推測だ。

 おそらく彼女は旦那の赴任先のドイツかオランダあたりから、つい先日、日本に帰国したばかりなんだろう(おそらく!)。だから、子供を載せるのはトレーラー、というカルチャーに慣れている(たぶん!)。地面に近くて安定しているコレでないと、安心できない(きっと!)。

 で、自転車が歩道を走るなんてことが感覚に合わないのだ。特にトレーラーを着けた自転車は、日本の道交法でいっても、“普通自転車”の範疇から外れるので、車道しか走れない。だったら、私は車道を行くわ、という感じなのではないか。

 推測だらけで言うんだが、すばらしいぞ、駒沢ヤングママ。

 でも、これまた経堂と同じく、この駒沢がまたも「中程度の高級住宅地」であることと、もちろん無縁じゃない。

 自転車状況は、こうした「意識の高い一般」から変わり始めているのだ。

東京南西地域から「新自転車文化」はスタートするのだ!

 さて、そのまま環七を南下。環七は、環八に較べると車線が広くて少しだけ走りやすいね。

 お、環七沿いの雑貨屋前に、懐かしい自転車が置いてあるぞ。

 自転車から降りてみてみると、おおー、ツンツンツノダのTU号と、丸石のヤングホリデーだよ。

 ほとんど新品同様に磨きあげられて、店先にディスプレイされてある。

 このふたつはいずれも件の「ジュニアスポーツ自転車」の初期段階で、私の世代(昭和41年生まれ)のもう1つ前の世代に流行ったモデルだ。

 セミドロップハンドルは一致するものの、変速機も、メーター一体型のライトも、ごてごてしているように見えて、でも、まだ若干慎ましやかだ。これがゴテゴテギラギラの満艦飾になるのは、このちょっと後の話。

 しかし、そうなのか。「あの時代の自転車」はすでに骨董品となり、こうして店先にディスプレイし、愛でる対象となっているのか。そして、少年時代にこの手の自転車に乗っていた人々が、今、自転車ブームと呼ぶべき状況を支えている。

 今回あらためて思うんだけど、東京の西側は、スポーツ自転車、というより「街乗り用のクロスバイク」が本当に増えたね。

 しかもそれは南に行けば行くほど、何というか使い方の洗練度が増していく。具体的に言うと、右側通行率が低くなる。

 ふーむ、そうなのだ。自転車という身近なビークルが、今、少しずつ変わろうとしているのかもしれない。

「新自転車文化」とでもいうべき、新たなカルチャーは、間違いなく、この東京南西部あたりを起点としてスタートし始めている。

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