詳説日本野球研究BACK NUMBER
日ハム・大嶋匠と中日・高橋周平。
キャンプで光ったルーキー達を評す。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/02/22 10:30
練習試合、紅白戦と快打を放ち続けた日ハム・大嶋匠。ソフトボール出身ながら急速に野球に適応し、21日の第5クールからは1軍に合流する
キャンプも終盤を迎え、沖縄、宮崎ではオープン戦も行なわれている。球春はもうそこまでやってきている。この時期の楽しみは、新人や新戦力の話題である。各球団で話題になっているのは次の選手たちだ(年齢は今年の満年齢)。
ソフトバンク 川原弘之/3年目21歳/投手
日本ハム 大嶋匠/新人22歳/捕手
西武 菊池雄星/3年目21歳/投手
オリックス 李大浩/新外国人30歳/一塁手
楽天 塩見貴洋/2年目24歳/投手
ロッテ 藤岡貴裕/新人23歳/投手
中日 高橋周平/新人18歳/遊撃手
ヤクルト 上田剛史/6年目24歳/外野手
巨人 宮國椋丞/2年目20歳/投手
阪神 伊藤隼太/新人23歳/外野手
広島 野村祐輔/新人23歳/投手
横浜 筒香嘉智/3年目21歳/三塁手
この中から野手2人を取り上げ、彼らの今季の活躍と将来性について予想してみた。
プロ初打席で本塁打を放った日ハム・大嶋匠の即戦力度。
2月8日に行なわれた日本ハム名護キャンプの紅白戦で、新人・大嶋匠がプロ初ホームランをバックスクリーンに叩き込み、大きな話題をさらった。翌日の日刊スポーツの1面には「ソフトボールより軽く飛んだ!! 大嶋 野球1号」の見出しとともに、ホームランを放ったときの写真が大きく紹介されていた。
「野球1号」と書いたのは、大嶋が早大ソフトボール部出身だからだ。硬式野球の経験はゼロ。こういう経歴の持ち主がプロ野球の世界に入ったのは初めてではないか。
野球界では無名でも、ソフトボールの世界では超有名人だった。新島学園(群馬)時代はアジアジュニア選手権U-19(19歳以下)代表に選出され、早大では10年のU-23ワールドシリーズに出場し優秀選手賞を受賞。大学通算80本塁打を放ち、4年時には13試合連続本塁打というとんでもない記録も作っている。
と言っても、野球とソフトボールは別物である。ボールの大きさはもちろん、マウンドから本塁までの距離は野球の18.44メートルに対し14.02メートル。塁間も野球の27.431メートルに対し18.29メートルと短い。あらゆるところに違いがありすぎ、これまで同一の競技として考えることができなかった。