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「今年死ぬかもしれないですね」
黒田博樹が語るヤンキースでの覚悟。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2012/02/18 08:02

「今年死ぬかもしれないですね」黒田博樹が語るヤンキースでの覚悟。<Number Web> photograph by Getty Images

昨シーズンはドジャースで13勝16敗、防御率3.07と安定した成績を残した。MLBでの過去4年間の通算成績は41勝46敗、防御率3.45。ヤンキースでも先発投手として2桁勝利が期待されている

「常に成長していかないといけないと思います」

 そして黒田は今も、現状に甘えることなく更なる成長に取り組んでいる。

 このオフは自宅のあるロサンゼルスでトレーニング施設に連日通い、筋力アップや体幹強化を目指して徹底的に身体をいじめ抜いた。より一層の安定した投球を求めるためチェンジアップの習得に熱心に取り組んでいるという。

「野球選手に限らず、プロの世界にいる人なら、常に成長していかないといけないと思いますよ」

 そう語った後、おもむろに今シーズンに賭ける特別な思いまでを吐露した。

「特に年齢的にもそうですし……今年は野球人生の集大成というか、今年でどうなってもいいぐらいの気持ちですから。でも、そういう覚悟を決めてでもやっていこう、と思えたのはヤンキースだったからなんでしょうね」

「今年死ぬかもしれない」──そう語った確固たる決意。

 メジャー随一の注目を集めるチームに移り、さらに当然のごとく成績を残すことが義務づけられる存在になった黒田。

「ノルマとかは考えないです。これまでと一緒で1年間精一杯、毎試合投げていくしかない。去年もその積み重ねでああいうかたちになった。自分がチームにフィットした、与えられたポジションの中でしっかり貢献していきたいです」

 その一方で37歳になった黒田の気概は、今まで以上に高まっているようだ。

「もともと自分の中では1年契約しか頭になかった。それが一番自分も完全燃焼できるし、1年間フルに戦ってそれで肩が上がらなくなったとしても、自分でもあきらめがつくし、周りの誰にも迷惑をかけることがないと思いますからね」

 最後にジョーク混じりに「今年死ぬかもしれないですね」と笑顔を見せたが、その黒田の言葉には断固たる決意が滲み出ていた。黒田が野球人生の集大成と位置づける2012年は果たしてどんなシーズンとなるのだろうか……。

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