ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
関塚ジャパンに再編の必要アリ!?
「日本らしさ」がシリア戦で完全崩壊。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/02/06 12:15
2失点した権田は「やってはいけないミス……」と語ったが、このチームの問題は試合内容全体にある。なお、もし日本がグループ2位で終われば、3月25日からのアジアプレーオフでグループ2位3カ国による総当たり戦。そこで首位になれば大陸間プレーオフに進み、4月23日、アフリカ予選4位のセネガルに勝てば五輪出場決定となる
試合終了の笛が鳴った瞬間、永井謙佑はピッチに座り込み、権田修一は放心したかのように虚ろな目をして立ち尽くしていた。
2月5日、ロンドン五輪最終予選シリア戦。日本は後半45分、サリハに奇跡のようなロングシュートを決められ1-2で敗北。勝ち点9で並ばれたシリアに総得点数で抜かれ、グループリーグC組2位に陥落。自力突破が消滅した。
その事実はもちろん、結果も非常に残念だったが、それ以上に衝撃的だったのは試合内容にほとんど光明が見えなかったことだ。
前半19分、FKから大迫勇也のヘッドをかすめたボールを権田が掴み切れずにオウンゴールで失点。「先制点を奪われ、かなり動揺した」(大迫)という日本は完全に「らしさ」を失った。まるで1-2で敗れた2次予選の、アウェーにおけるクウェート戦の時に戻ったようにナイーブなメンタルを露呈してしまったのだ。
パスを繋いでサイドや中央から繰り出す多彩な攻撃が……消えた。
前から圧力を掛けて攻めてくるシリアの勢いに押され、ボールを奪っても慌てて前方に蹴り出してしまう。
それでもシリアのように、FWスマに当てて中盤を押し上げ、セカンドボールを拾ってフィニッシュに繋げる、という意図が見えるならまだいい。日本のロングボールは苦し紛れのものがほとんどで、最大の特徴であり長所である「繋ぎ」を捨てており、しかもロングボール攻撃に徹する覚悟さえ見えなかった。
「本来なら後ろから繋いで行くところですけど、繋いでリズムを作るにしてもピッチがデコボコでけっこうリスクがあったし、シリアも蹴ってきたんで、それに付き合う感じになってしまった」
前半45分、起死回生の同点ゴールを決めた永井は、そう言った。
蹴るだけでは、必然的に攻めの型も単純化する。攻撃のパターンは大迫に当てて、彼が競り合うか、踏ん張ってキープするか、そのパターンのみとなった。最終予選3試合で見せたショートパスを繋ぎ、サイドアタックや中央突破を図るという多彩な攻撃、日本らしさは完全に影を潜めてしまったのである。
では、なぜ、繋げなかったのか?
ピッチがデコボコでも本当に繋げなかったのか?