プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ダルビッシュよ、開幕から頑張るな!?
メジャーで成功する意外な秘訣とは。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/12/26 10:30
ダルビッシュ有の独占交渉権は、ア・リーグ西地区のレンジャーズが獲得。契約に至れば、同地区マリナーズのイチローとの直接対決も実現する
青木、中島、川崎はメジャーの試練をかいくぐれるか。
メジャーの厳しいスケジュールの経験もなく、ただ目の前のハードルをクリアすることだけに一生懸命にならざるを得ない。しかし、そうなるとよほどの体の強さがない限りコンディションを維持することが難しくなり、結果も出にくくなる。
ポスティングでミルウォーキー・ブルワーズ移籍が濃厚のヤクルト・青木宣親外野手やニューヨーク・ヤンキースが独占交渉権を手にした西武の中島裕之内野手、マリナーズ入りが確実と言われるソフトバンク・川崎宗則内野手は、まずこの試練に立ち向かわなければならない。それをかいくぐって結果を出す難しさこそが、メジャーの難しさだと言っても言い過ぎではないぐらいだ。
主力扱いのダルビッシュは「頑張らない」が成功のカギ。
その中で……。
テキサス・レンジャーズが独占交渉権を得た日本ハムのダルビッシュ有投手だけは、環境が少し異なる。
5170万ドル(約40億3260万円)とも言われる高額入札金に、1000万ドル超(約7億7000万円)の年俸をつぎ込んで獲得することになるダルビッシュは、チームにとっては働いてもらわなければならない選手、いわば入団と同時に主力選手と同じ扱いの選手となるわけだ。
だから、決してキャンプでアセる必要はない。
開幕でエンジンがかからなくても、惨憺たる結果でない限りチームは使い続けるはずだ。だから開幕は7、8割の状態で体力を温存して入り、次第に調子を上げていければ、トータルでは好結果に結びつく可能性も高くなるはずだ。
キャンプで頑張り過ぎるな。
ダルビッシュ成功の条件は、そこにあるように思う。