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ヴォルフスブルクが想定外の絶不調。
長谷部誠の奮闘は、実を結ぶのか?
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/12/24 08:01
前半戦17試合中14試合に出場した長谷部。右サイドバックで起用されることが多かったが、最近は本職のボランチで出場している
今季のブンデスリーガで開幕前の期待と実際の成績が最もかけ離れているのが、ヴォルフスブルクだろう。
「目標は優勝を含めた4位以上の成績を残し、チャンピオンズリーグ出場権を獲得する」
これがシーズン前にマガト監督の掲げた目標だった。3シーズン前にチームをクラブ史上初優勝に導いた監督が、開幕前から入念な準備を積んで、シーズンに挑むのだ。過去2シーズンは低調に終わったヴォルフスブルクの躍進を予想する声も小さくはなかった。
ところがどうだろう。17試合を終えてヴォルフスブルクが積み上げた勝ち点はわずかに20。これは1997年に1部に昇格して以来、4番目に悪い成績だった。
開幕前には息巻いていたマガト監督も、すっかりトーンダウン。
「我々は、残留を勝ちとらなければいけない」
12月に入ってからは弱気な発言に終始した。
「監督が弱気? それはあるかもしれないね。これだけやられたら、そうなっちゃうだろうし……」
ポジティブな発言の多い長谷部誠は、監督の発言に同情しつつも、こう付け加える。
「でも、監督の問題じゃないと思うんだよね。優勝してから2年半か……あれから、ずっとこういう感じだから。これはもう、選手の問題。チームとして何をやれるか、選手が考えてやらないといけない」
今季の不調には、開幕前から伏線があった!?
実は、不調の最初の原因は、開幕前に生まれていた。
選手補強の失敗である。
昨季は昇格したばかりのカイザースラウテルンで16ゴールを決め、鳴り物入りで加入したラキッチは前半戦10試合にプレーしてノーゴール。マガト監督の構想を外れており、この冬の移籍が噂されている。
守備の要だったキアルは「このチームの守備のやり方は到底受け入れられないものだった」との捨て台詞を残して開幕後にローマへ移籍していった。
韓国代表のク・ジャチョルは開幕後にハンブルガーSVへの移籍が決まりかけていたが、代わりとなる選手をとれなかったというお粗末な理由で残留した。
南アフリカW杯ではドイツ代表のセンターバックのレギュラーを務めていたフリードリヒも、監督との見解の相違と怪我を理由に、9月に入ってから契約を解除。バルセロナからレンタル移籍でやってきたフレブも期待外れに終わった。