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ウディネーゼとナポリの話題沸騰!
快進撃を陰で支えるふたりの守護神。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images/AFLO
posted2011/12/17 08:02
2004年にウディネーゼに加入したハンダノビッチ(左)は、リミニ、ラツィオなどへのレンタル移籍を経て、2007年から正GKを務める。デサンクティスは2009年にナポリに加入。イタリア代表の控えGKも務める
商売上手なウディネーゼの、来夏の目玉商品はGK!?
ハンダノビッチこそ取引上手で知られるクラブの来夏の目玉商品だ。
本人も「ビッグクラブ以外には移籍しない」と明言済み。移籍金の相場は1500万~2000万ユーロと見られ、正GKの世代交代に迫られるミラノの2強をはじめ、チェルシーら国外強豪による争奪戦が水面下で始まっている。今夏には、多額の移籍金を置き土産にFWサンチェス(現バルセロナ)やMFインレル(現ナポリ)がウディネから巣立っていった。
ナポリの新たな守護神として認められたデサンクティス。
イタリアへ来たばかりのハンダノビッチがまだ右往左往していた頃、チームの絶対的守護神として君臨していたのが、モルガン・デサンクティス(現ナポリ)だ。
若くしてユベントスに引き抜かれたものの、出場機会を求めて'99年にウディネへ移籍すると、通算8シーズンにわたって北部の古都のゴールマウスを守り続けた。
セビージャやガラタサライでの海外プレー経験を経た異色GKは、'09年夏に欧州カップ戦出場の野心に燃えるナポリへ加入。プレーの円熟味がさらに増し、大胆さも加わった。
同時代に生まれた歴史的名手ブッフォンの陰に隠れた感はあるが、'87年にナポリが最初のスクデットを獲得したときの守護神ガレッラは「ポジショニングとキャッチングはトップレベルで、高低に飛び込むタイミングも正確。弱点はないに等しい」と後継者を高く評価する。
今季は智将マッツァーリが手がけた3バックとともにチャンピオンズリーグへ挑み、巨大資本のマンチェスターCや常連ビジャレアルを撃破。下馬評を覆して、あのマラドーナ時代でさえ困難だった欧州頂上トーナメント16強進出を果たした。
とはいえ、若いチームは大会の重圧に相当苦しんだ。
山場は強豪バイエルン相手に一時3点ビハインドを許した第4節。2点は取り返したが、後半のロスタイムにあわやの4失点目を防いだデサンクティスの懸命なセーブが、チームを絶望から救った。34歳のベテランは、負け試合でも“勝負どころ”を知っている。