セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ウディネーゼとナポリの話題沸騰!
快進撃を陰で支えるふたりの守護神。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images/AFLO
posted2011/12/17 08:02
2004年にウディネーゼに加入したハンダノビッチ(左)は、リミニ、ラツィオなどへのレンタル移籍を経て、2007年から正GKを務める。デサンクティスは2009年にナポリに加入。イタリア代表の控えGKも務める
PKを得ても決して喜べない。ゴールマウスに立ちはだかるGKの名は、サミール・ハンダノビッチ。
今季もセリエA首位戦線を盛り上げるウディネーゼの守護神は、昨季のリーグ戦で(8本中)6本のPKをセーブする離れ業を見せ、セリエA新記録を樹立した。今やリーグナンバーワンキーパーの呼び声も高いスロベニア代表は「カシージャス(レアル・マドリー)やノイアー(バイエルン)と比べて、自分が劣っているとは思わない」と豪語する。昨シーズンから続くチームの躍進は、この27歳を抜きにしては語れない。
スロベニア中央部に位置するドムジャレ。この小さな町でプロデビューしたばかりのハンダノビッチをウディネーゼの東欧担当スカウトがイタリアへ連れてきたのは、彼が20歳になったばかりの夏だった。
長大なリーチを持つ193cmの原石。すぐにレンタル修行に出されると、カルチョスキャンダル直後の'06-'07年シーズン、リミニでのセリエB時代に転機を迎える。レギュラーの座を射止め、当時Bへ降格していたユベントスとの大一番で好セーブを連発。リーグ全体への関心が急上昇したこの年のBで、ブッフォンを脅かす期待の若手GKとして、一躍注目を浴びたのだった。
14試合でわずか7失点。ハンダノビッチの堅守が光るウディネーゼ。
今季のセリエAも3分の1を消化したが、14試合7失点でダントツの最少失点を誇るウディネーゼが首位戦線を引っ張る。
もちろん、FWディナターレのゴール量産効果は大きいが、チームが誇る高精度のカウンター攻撃は、ハンダノビッチの堅守があってこそ。難攻不落を誇る守護神への信頼度は、他のチームのそれと一線を画する。
今季の伏兵アタランタと対戦したアウェーゲームの7節では退場者を出し、チームは攻守に苦しんだ。だが、ハンダノビッチは冷静な判断と抜群の反射神経で再三のピンチをすべて封じ込め、守りながら勝ち点1をもぎ取った。
“勝ち点を取れるゴールキーパー”に対する指揮官グイドリンの信頼は絶大で、「現時点で欧州のベストGK」と手放しで称賛する。