フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
男女ともに宿命の対決があり必見!!
混戦必至なフィギュアGPファイナル。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byKYODO
posted2011/12/08 10:31
今シーズン、NHK杯で優勝した高橋大輔とロシア杯で優勝した浅田真央。現王者、現女王ではないが、そのポテンシャルはまだまだ世界一のレベル。ファイナルでの頂点を期待したい
15歳当時の浅田の姿と重なる、14歳のトゥクタミシェワ。
ファイナルで注目したいのは、彼女とトゥクタミシェワの対決である。
フランス杯でトゥクタミシェワが優勝したとき、私は2005年11月に浅田がサーシャ・コーエンと荒川静香を退けて優勝したことを思い出した。
シニアデビューしたばかりで失うものもなく、恐れるもののなかった15歳当時の浅田と、今季のトゥクタミシェワが重なって見える。
あれから様々な困難を乗り越えて大人の女性のスケーターに成長した今の浅田が、過去の自分を見るかのような14歳とどのような戦いぶりを見せるのだろう。
技術に加えて「華」も身につけた鈴木明子は絶好調。
鈴木明子も、今季は絶好調である。
3+3のトウループコンビネーションを新たにプログラムに組み込んで、NHK杯では185.98という、今季のGPシリーズ女子全体の中での最高スコアを記録した。もともと鈴木は安定した5種類の3回転ジャンプと、優れたリズム感を駆使したステップで高いレベルを得る能力を持っている。今季の彼女は、さらに加えて「華」という存在感を身につけたように見える。技術と表現力をグレードアップさせた今季は、世界の頂点に立つことも夢ではないだろう。
2試合の合計スコアでいうと、トップは浅田真央。カロリナ・コストナー(イタリア)、エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)、鈴木明子、アリッサ・シズニー(米国)、アリョーナ・レオノワ(ロシア)の順になる。
だがもちろん、GPファイナル本番では何が起きるかわからない。
ペア、アイスダンスにも熾烈な争いが待っている。
ペアでは、川口悠子&アレクサンドル・スミルノフ、高橋成美&マーヴィン・トランら6組がファイナルに進出。川口はすでにロシア国籍ながら、日本人女子2人が進出したのは嬉しい。優勝争いは川口&スミルノフ、ドイツのサフチェンコ&ゾルコーヴィ、ロシアのヴォロサザール&トランコフの3組の間で繰り広げることになるだろう。
アイスダンスは、五輪金メダリストのヴァーチュー&モイア(カナダ)と、銀メダリストのデイビス&ホワイト(米国)が他を大きく引き離してトップ争いを繰り広げることが予想される。トップ2組はほぼ確定したこの顔ぶれの中、3位を狙うペシャラ&ブルザ(フランス)、シブタニ&シブタニ(米国)ウィーバー&ポジェ(カナダ)らが激しく競り合うことになるだろう。
それぞれ個性豊かな役者は出揃った。充実した大会になるはずである。