フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
男女ともに宿命の対決があり必見!!
混戦必至なフィギュアGPファイナル。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byKYODO
posted2011/12/08 10:31
今シーズン、NHK杯で優勝した高橋大輔とロシア杯で優勝した浅田真央。現王者、現女王ではないが、そのポテンシャルはまだまだ世界一のレベル。ファイナルでの頂点を期待したい
制するのは2試合優勝のチャンか、最高得点の高橋か!?
こうして男子、6人の強豪が揃った。
パトリック・チャン(カナダ)、高橋大輔、ジェレミー・アボット(米国)、ミハル・ブレジナ(チェコ)、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)、羽生結弦と、国籍のバラエティにも富んだ顔ぶれとなった。
ちなみに今回男子で、2試合優勝して合計30ポイントを獲得したのは現世界選手権王者のパトリック・チャンのみ。だが2試合で得たスコアの合計がもっとも高いのは、497.62を獲得している前世界選手権王者の高橋大輔である。スコアだけで見ていくと、高橋、チャン、フェルナンデス、羽生、アボット、ブレジナの順となる。
とはいえ勝負は時の運。GPファイナルでもこのとおりの順位になるとは限らないところが、フィギュアスケートの面白さでもある。
佐藤コーチとの二人三脚で弱点を克服した浅田真央。
一方女子は、浅田真央がロシア杯で優勝を果たし、3シーズンぶりにGPファイナル進出を決めた。
3アクセルという大技へのこだわりをいったん捨て、彼女が本来持っていたスケーティングの美しさと全体のバランスを取り戻しつつある。表情も明るくなり、見ていて心が癒されるような彼女ならではの滑りを、再び見せてくれるようになった。
フィギュアスケートでは、通常の場合、コーチを移るとその成果が試合に出るまで2年はかかると言われている。浅田の場合は特に、ドラマチックな演技の演出が得意なタチアナ・タラソワ・コーチから、スケーティング技術の基礎にこだわりの強い佐藤信夫コーチへと、極端にタイプの違うコーチへ移った。彼女ほどのキャリアを持つ選手が、すべて基礎から修正していった作業がどれほど大変だったか、想像に難くない。
だが浅田真央は課題から目をそらさず、自分の弱点に真っ向から取り組んだ。それが今シーズン、彼女の演技の結果となって出てきたのだ。本人のみならず、佐藤コーチもおそらく世間の期待という、多大なプレッシャーを感じながらの共同作業だったことだろう。
「2シーズン目になって、ようやくコミュニケーションが取れるようになってきた」と佐藤コーチも手ごたえを語った。