プレミアリーグの時間BACK NUMBER
スペインとスウェーデンを連破!
カペッロ率いるイングランドは本物か?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/11/24 10:30
スペイン戦で、ベントのシュートのこぼれ玉に反応して決勝点を奪ったランパード。代表では絶対的な存在ではないが、チームにとっていまだ強力な武器であり続けている
故障続きのジェラードに代わる第3の男、ロドウェル。
スウェーデン戦では、カイル・ウォーカー(トッテナム)という右SBの新顔が登場した。持ち前の快足で、攻撃参加時のインパクトはレギュラーのグレン・ジョンソン(リバプール)を凌ぐ。U-21代表から昇格したばかりだけに守備のノウハウが不足しているが、27歳のジョンソンも守備に難点がある。これまでは本職の競争相手が乏しかったポジションだけに、ウォーカーの台頭はチームにとって大きなプラスだ。
ジャック・ロドウェル(エバートン)という、第3センターハーフ候補の収穫もあった。イングランドの基本システムは4-3-3と思われるが、予選中に「ランパードの起用はパーカーかウィルシャーの欠場時に限られる」とカペッロが発言していることから、定位置争いの対象は1枠しかない。
指揮官は、年明けには足首の怪我が癒えるジャック・ウィルシャー(アーセナル)の相棒として、スティーブン・ジェラード(リバプール)への信頼が強いが、当のジェラードは昨季後半から故障続き。フランク・ランパード(チェルシー)よりは2歳若いが、来夏に32歳の“ダイナモ”がフル回転する保証はない。
その点、クラブで常時出場が可能なロドウェルは今が伸び盛り。好守に精力的な20歳は、スウェーデン戦で2度の絶好機に絡んだ。ボレーとヘディングによるシュートは得点に至らなかったが、初先発した代表戦の前半から、臆せずに攻め上がった度胸とその攻撃センスは評価に価する。
EURO開幕戦を欠場するルーニーの代役は見つからず。
今回のオーディションでの無念は、第2FWの有力候補を発見できなかったことだろう。前線にウェイン・ルーニーがいれば問題はない。26歳のエースは、3トップの中央でアシュリー・ヤング、テオ・ウォルコットといったウィンガーとの連係で得点機に絡みつつ、守備の局面では、自らも下がってMF陣を援護する献身さと体力、深い位置から反撃に転じるための走力とパス能力を備えている。
ところが、肝心のルーニーは、予選最終節での退場処分で、EURO開幕からの3試合出場停止を言い渡されている。UEFAへのアピールが通っても、2試合への処分軽減が関の山だ。出場国数が16に限られるEUROでは、いきなり強国と当たる可能性がある。南アで力の差を見せ付けられたドイツ、予選で僅か2失点のイタリアとはベスト8以降の対戦となるが、優勝候補筆頭のスペインの他、ポルトガル、フランスと同居する「死の組」さえあり得るのだから、ルーニー不在はグループ戦だけなどと高を括るわけにはいかない。