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レースに散った仲間達に黙祷を――。
インドGPで見たF1ドライバーの決意。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2011/11/03 08:02
インドGP、スタート前にF1の主だった関係者が全員揃って黙祷。明日は我が身ともいえるレーサー仲間の相次ぐ死は、初開催だったインドGPに暗い影を投げかけていた
不幸の連鎖を食い止めた、F1ドライバーたちの精神力。
10月16日のインディカーの事故。
その1週間後の10月23日に発生したMotoGPの悲劇。
さらに、その1週間後に行われたF1のインドGPは、不幸の連鎖が続きはしないかという不安に包まれる中での開催だったのだ。
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果たして、悲劇が繰り返されることはなかった。この不幸の連鎖を食い止めたのは、1994年の死亡事故以降、進められてきたF1の高い安全性だけではない。そこには、隣り合わせの危険に立ち向かうF1ドライバーたちの強い精神力があったことを、忘れてはならない。
10月30日、午後2時45分。スターティンググリッド上に集まった24人のドライバーたち。黙とうから15分後、彼らは悲しみに耐え、多くのモータースポーツファンの夢を背負って猛然とスタートした。
第1回F1インドGPの勝者は、24人全員だったと思う。