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レースに散った仲間達に黙祷を――。
インドGPで見たF1ドライバーの決意。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2011/11/03 08:02
インドGP、スタート前にF1の主だった関係者が全員揃って黙祷。明日は我が身ともいえるレーサー仲間の相次ぐ死は、初開催だったインドGPに暗い影を投げかけていた
二輪レーサーの有望株、シモンチェリもこの世を去った。
もうひとりは、ウェルドンの死から1週間後の10月23日に亡くなった。
マレーシア・クアラルンプール郊外のセパンで開催された、ロードレース世界選手権マレーシアGPのMotoGPクラスでのことだった。そのレース中に転倒し、後続のバイクに衝突してこの世を去ったマルコ・シモンチェリである。
シモンチェリはMotoGPのひとつ下の250クラスを制した後、二輪最高峰となるMotoGPクラスに2010年にステップアップ。イタリアではヴァレンティーノ・ロッシの後継者として期待を集めていた若手有望株だった。
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MotoGPはヨーロッパではF1と並んで人気の高いモータースポーツで、日本GP&韓国GPの2週連続開催を終えてヨーロッパに帰っていたF1ドライバーの多くが、テレビで観戦していたほど。
その中のひとりにセバスチャン・ベッテルもいた。
「改めて安全性について考えさせられる」(ベッテル)
「大親友というわけじゃないけど、面識はあった。事故の後、彼の容態が知らされるまで、かなり長くかかっていたから、最悪の事態を考えた。こういう事故を目の当たりにすると、改めて安全性について考えさせられる」
シモンチェリの母国イタリアのチームであるフェラーリに所属するフェルナンド・アロンソは言う。
「確かにF1の安全性の水準は高い。でも、F1だけが絶対に安全だと言うことはできない。もしインドのこのサーキットのストレートで何かが起きたら、大事故になる可能性は十分ある。それでも、僕はステアリングを置くことはない。なぜなら、このスポーツを愛しているから……」