MLB東奔西走BACK NUMBER
連続200本安打こそ途切れたが……。
MLBのイチロー伝説は現在進行形!
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2011/10/02 08:01
イチローは161試合に出場し184安打、47打点、打率.272と、自身にとっては過去にない厳しい成績で、今シーズンを終えた
ボブ・メルビン監督が見た、今シーズンのイチロー。
また自分とは違った意味で、来シーズンのイチローに注目する人物がいる。かつてマリナーズの監督を務めたこともある、アスレチックスのボブ・メルビン監督だ。
「11年という長い期間プレーを続けていれば、どんな選手でも最高のシーズンと最低のシーズンが出てくるものだ。その中で今シーズンは彼にとって不本意なシーズンになっているようだ。イチローは今まで自分が関わった選手の中で、ベストの体調を維持し、常に準備を怠らない突出した選手だ。今シーズンの反省を生かして、来シーズンは最高のシーズンを迎える可能性が高いと期待している」
シーズン | 安打数 |
---|---|
2001 | 242 |
2002 | 208 |
2003 | 212 |
2004 | 262 |
2005 | 206 |
2006 | 224 |
2007 | 238 |
2008 | 213 |
2009 | 225 |
2010 | 214 |
2011 | 184 |
メルビン監督の考察を裏づけるデータがある。別表にまとめた過去10シーズンの安打数を見てほしい。成績が上下する中でこれまで2年連続で前年を下回ったことがないのだ。それは取りも直さずイチローが毎年の打撃を自分の中できちんと解析した上で次のシーズンに臨んでいる証拠だろう。
偉大なる先人、マイケル・ヤングの野球観。
一方で、それだけに初めて2年連続で前年を下回った今シーズンこそ深刻だと考えることもできる。確かに彼の打撃フォームが例年とは変わった、と論じるメディアも存在している。だが、過去に5年連続200安打を記録し、今シーズン4年ぶりに200安打超えを達成したマイケル・ヤングはこんな私見を披瀝してくれた。
「彼のバッティングが大きく変わっているとは思えない。メジャーリーグでずっと成績を残し続けること自体が、非常に難しいということを理解しなければならない。重要なことは、彼が現在も故障なく例年通り体調を維持し試合に出続けていることだ。それができている限り、彼はまた今まで通り打つようになると思っている」