MLB東奔西走BACK NUMBER
連続200本安打こそ途切れたが……。
MLBのイチロー伝説は現在進行形!
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2011/10/02 08:01
イチローは161試合に出場し184安打、47打点、打率.272と、自身にとっては過去にない厳しい成績で、今シーズンを終えた
鉄人カル・リプケンと比肩する特筆すべき頑丈さ。
すでに広く知られているが、イチローはオリックス時代からずっと同じ型のバットを使い続けている。そしてベストの状態でバットを振れるように、毎年打撃フォームが微調整されているのだ。だから、今シーズンの不振をフォームの違いのみで説明するのには違和感を抱かざるを得ない。ただ、今シーズン200安打に届かなかったことでイチローの中で変化が起こり、バットの変更を決断し、イチローの打撃が新たな“ステージ”に移行するのでは……と想像できたりするのも来シーズンの楽しみの1つになってもいる。
それ以上に注目すべきなのはメルビン監督、ヤングが語っているように、不振ながらもケガをせずに試合に出続けたという点だろう。今シーズンのイチローは161試合に出場したが、37歳のシーズンで過去161試合の出場を記録しているのは1998年のカル・リプケン1人だけ。だからこそ、証言してくれた2人はともに来シーズンのイチローの復活を信じているのだろう。
それでも続く“メジャー球界でのイチロー・スタンダード”。
かつてイチローが「50歳まで現役をやりたい」と語っているのを記憶しているだろうか。
多少なりともジョークのようにも聞こえるかもしれないが、イチローは決して絵空事だとは考えていないはずだ。ずっとその視点に立って身体作りをしているからこそ、37歳の今もメジャー最多出場を続けられるのだろう。
もちろんイチローが今までのような出場が続けられる限り、シーズンを通しての個人的な指標は引き続き200安打となる。それが実現できた時、その結果としてピート・ローズを上回り、通算11回の200安打達成というメジャー新記録の勲章が加わる。ちなみに38歳でのシーズン最多安打は、そのローズが1979年に記録した208。この記録更新も決して夢ではないだろう。
ここまで論を進めてみると、冒頭に“イチロー・スタンダード”が崩れたと謳いはしたが、結局のところ年間200本安打の連続記録が途絶えただけで、“メジャー球界でのイチロー・スタンダード”が潰える日は来ないのではないだろうかと思えてきた……。