球道雑記BACK NUMBER
超美技を連発の“魔術師”継承者。
ロッテ「岡田幸文伝説」が始まる?
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/09/25 08:01
千葉ロッテマリーンズとしては、初の育成ドラフト出身での一軍登録選手となった岡田幸文。「オーバーフェンス以外は全部捕るつもりでいる」との発言も
「守備走塁に対する意識がより強くなりました」
現役時代に代走と守備固め要員として活躍した代田の言葉に岡田は耳を傾けた。
その日からふたりのマンツーマン特訓が始まった。岡田の俊足を生かすため、代田は自分が持っているノウハウを彼に叩き込んだ。
すると岡田はみるみると成長、その後支配下登録をはたし、ついには1軍デビューを果たすまで一気に登り詰めた。
「ファームで教えてもらったことは僕にとってすごく大きかったです。2軍の髙橋慶彦監督に教わったこともそうですし、西村監督になって、守備走塁に対する意識がより強くなったので、それも大きかったです」
腰を落としてまるで内野手のような構えで打球に備える。
そんな岡田が守備につく際、必ず意識していることがある。それは目線の高さだ。
投手がモーションに入る際、岡田は必ずと言って良いほど腰を落として内野手のような構えで打球に備えている。これこそが岡田の超美技を生んでいる秘訣だ。
「まず目線を上げたくないというのが1つあります。低いライナーでも打球が上がった瞬間、一瞬だけふっと上を向いてしまうことがあると思うんです。だから自分はそれを防ぐために、低い打球でも常に下から、下から、入れるように低い姿勢を保っています。これで最初の一歩目が違ってきます」
このことを山森に聞くと同様の答えが返ってきた。
「彼は目線をあげたくないんだと思います。低く構えて目線を下げることで、低いライナーでも追いつこうと考えている。上から打球を追えばノーチャンスで終わる打球も、下から追うことによって獲れる打球も増えてくる、その辺も自分で考えているんだと思いますよ」
センターからバッテリーの動きを見て打球を予測する。
伝説の名手を唸らせる岡田の守備。彼の球際の強さにはもうひとつ秘密がある。
「センターから捕手のサイン、ピッチャーの投げた球種、そしてコース、配球、これを見ているんです。そうすることによって一歩目がまず変わってきます。外野手はこの一歩目が大事なんです。これを見ることによって、自分はある程度、打球の予測がついてきます。これは言葉にするのが本当に難しいですね」