スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
「ポスト・シャビ」のバルサ未来形。
圧倒的破壊力の3-4-3をひも解く。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAFLO
posted2011/09/09 10:30
ビジャレアル戦、ベンチスタートのシャビ(中央)。自分自身がいない「バルサ」をどう見ていたのか
ペップが「ポスト・シャビ」の戦い方を提示した!
そしてウイングがゴールから遠ざかる分、より攻撃において重要性を持ってくるのが2列目からの上がりとなる。中でもセスクは前線へ抜けだしてゴールを決めるプレーが得意な選手であり、ガンペールカップ、UEFAスーパーカップ、そしてこの日のビジャレアル戦と3試合連続ゴールを決めている。本人が最も好むトップ下でプレーできる3-4-3はまさに、セスクのためのシステムとさえ言うことができるかもしれない。
チアゴの台頭とセスクの加入で生じたMFのオーバーブッキングに対し、この試合でグアルディオラは3-4-3という1つの解決策を示した。それは同時に、来年1月に32歳を迎えるシャビが抜けた後の未来像を示すことにもなった。
強豪相手に確かな手ごたえを掴んだことで、今後は対戦相手や選手のコンディションに合わせて4-3-3と3-4-3のオプションを並行して使っていくことになるかもしれない。世界の頂点を極めてもなお、ペップ・バルサは進化し続けているのだ。