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元日本代表・奥大介が語るW杯予選、
「勝ち抜くための3つのポイント」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoya Sanuki
posted2011/08/29 10:30
アジアカップ優勝や日韓戦の大勝など、ザックジャパンとなってから負け無しの日本代表。着々とチームの基盤は固まっているように見えるのだが……
~その2~ グループ最大の敵:チョン・テセ擁する北朝鮮。
ザックジャパン初戦の相手となるのが、昨年の南アフリカW杯にも出場した北朝鮮。奥はこのグループで最も警戒すべき相手だと断言する。
「第2ポッドのウズベキスタンよりも、日本にとっては北朝鮮のほうが戦いにくいと個人的には感じています。
ウズベキスタンは先のアジアカップではベスト4に入りましたけど、準決勝ではオーストラリアに6点も奪われている。一発でボールを取りにいこうとする守備の傾向があり、足元の技術が高い日本としては、そこをかわしていければチャンスをつくれると思う。
むしろ、しつこく、粘り強く守備をしてくる北朝鮮のほうが嫌。それにチョン・テセやリャン・ヨンギら日本を熟知している選手がいるし、何かしら日本のウイークポイントを探してくるはず。だから、この初戦は極めて重要な戦いになってくる。
そして引いて守ってくる北朝鮮に対して得点を奪えないような展開になると、日本のほうが焦れてくると思う。ホームということでプレッシャーのかかるのは日本のほう。大事なのは独特な雰囲気にのまれることなく、あまり硬くならないでやることと、90分間集中力を切らさないこと」
~その3~ ザックジャパンのキーマンは誰になるのか?
さて、W杯予選を勝ち抜いていくうえで、キーマンとなるのは誰か。
ジーコジャパンでは長いW杯予選の戦いのなかで久保や大黒将志ら新しい“ラッキーボーイ”が出現したことで、チームに勢いが生まれた。前回の岡田ジャパンでは、今の主軸となっている長友佑都や岡崎慎司ら若手が予選を通じて飛躍的な成長を遂げている。今回のキーマンとして、奥は迷うことなく「香川真司」の名前を挙げた。
「今、彼中心のチームになりつつあり、香川自身、気合も十分に入っていると思う。予選ではうまくいかないときもあるかもしれないが、この戦いを乗り切っていくことで心身ともにまた一段上のレベルに行けるはず。日本と対戦する相手はおそらく引いて守ってくることがほとんど。それを香川のテクニックで打開してほしい。
このあいだの韓国戦で見せたような、守りを固める狭いエリアに入っていってシュートを決めてしまうプレーを出していくことができれば、順当に勝ち点3を積み重ねていけると思う。香川がきっちりと結果を残していけば、チームは勢いに乗ることもできます。
あと、もう一人挙げるとすれば岡崎。アジアとの戦いというのは、決してスマートな部分だけでは戦えない。泥臭くやらなければならないことがどうしても多くなる。そういう意味では岡崎は、このチームで一番泥臭い役割を果たすことができる。岡崎が率先してやっていけば、周りもそうなってくる。香川、岡崎、この2人がカギを握る存在になってくると僕は思っています」