プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リバプールが支払った27億円は妥当?
ダウニングの「プレミアム」の値打ち。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byAFLO
posted2011/07/24 08:00
19歳で代表デビュー、イングランドの左サイドを担うと言われたダウニングも今年で27歳。キャリア初のビッグクラブで持ち前の突破力を発揮することができるか
キャロルとのホットラインがリバプールを優勝戦線に!
パブの店内で、アンディ・キャロルと共にリバプールのマフラーを掲げるダウニングの写真が大衆紙に掲載されたのは、移籍の噂が立ち始めた頃。写真はファンが合成した偽物だったが、1月に加入したCFとのコンビへの期待は本物だろう。
獲得を決めたダルグリッシュの狙いも、キャロルへのチャンス供給にあるはずだ。左サイドの補強はかねてからの懸案だった。昨季は、終盤戦でマキシ・ロドリゲスがいい働きを見せたが、通年で活躍した左ウィンガーは、ここ数年来、現れていない。アストンビラでは、右サイドでも利き足側のインサイドに切れ込んで効果的なプレーを見せたダウニングだが、今後は本来の左サイドが持ち場となる。
本人が移籍を志願した理由の1つも、強豪で本職に専念できる環境にあったに違いにない。その左足から連発されるクロスの終着点に、プレミア随一のヘディング能力を持つキャロルが待ち構えているのだから、リバプール・サポーターならずともコンビの出来が楽しみだ。
今回の移籍を境に、人々は、マクラーレンの“傘下”から切り離してダウニングを見るべきだ。そうすれば、「プレミアム価格の国産新戦力」が、今夏の移籍市場で最も過小評価されていたイングランド人選手だったと気づくだろう。キャロルとのホットラインが形成されて、リバプールが来季の優勝戦線に顔を出すことになれば、1年後には、ダウニングが相棒と祝杯をあげる本物の証拠写真がメディアに登場するかもしれない。