野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
東京・国分寺「もつ鍋 わたり」による、
プロ野球前半戦総括<2011年編>。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/07/22 13:00
昨季はプロ野球史上初となる3年連続90敗にして3年連続最下位を記録した横浜。今季これまで(7月22日)の成績は25勝44敗6分でブッチギリの最下位だが、フロントはトレードなどの補強も行わないと断言。フロントとの会談後に「頑張ってくれということだった」とコメントした尾花高夫監督
シーズンも折り返し地点を迎え、ペナントはオールスターブレイクでしばしの休演。連日の猛暑に加えクーラーも使えない、そんな夜には、逆に熱い鍋を喰らい涼を取るのも一興。
なんて思い立ってしまった時は、東京・国分寺。北口のうら寂しい路地の一角にある、もつ鍋の名店「もつ鍋 わたり」がおススメ。
この店の店主、中野渡進氏の詳細は……昨年の日本シリーズ予想記事を読んでいただきたい。簡単に言えば「口が悪くてクビになった元プロ野球選手」である。
この中野渡氏、現役生活4年とはいえ、その独自の視点から野球を観る慧眼は球界でも白眉の存在。あの記事以降、読者から「また“わたり”を出してくれ」との要望が2、3通殺到したので、今回の「野次馬ライトスタンド」は、中野渡進氏によるペナント前半戦の総括をしてもらうことにした。
「だから横浜が最下位だっつってんだろ。それ以外はしらねーよ!」
――すいません。ペナント前半戦の総括をしていただきたいのですが。
中野渡(以下省略)「だから横浜が最下位だっつってんだろ。それ以外はしらねーよ。もつ鍋屋だからな」
――ベイスターズだって開幕当初は調子よかったんですけどね。
「うちに来るベイスターズファンも春先には『いっつもボロクソに言うけど、今年こそ行けますよ!』、『ついに予想が外れましたね!』なんてはしゃいでたけど、あいつら店に来なくなっちゃったな」
――いけると思ったんですけどね。村田も全力疾走していましたし。
「そうやって首脳陣まで全部村田に押しつけちまってるからな。この前投手陣にブチ切れてたみてぇだけど、しょうがねぇだろ。
こないだも、オリックスに行った寺原が食いに来てシミジミと言ってたよ。『横浜を出てよかったのかもしれない』って憑きモノが落ちたような顔してさ。……ありゃ、マズイよな。横浜出た選手はカスティーヨでさえ別人みてぇに活躍しちまってるし。よっぽど環境がアレなんだろう。
野球博士のコミさん(小宮山悟氏)にベイスターズの話を聞いても柏レイソルの話しか返って来ないもんな。田中順也ってすげぇんだろ?」
――よくわからないですが、すごいみたいですね。それはともかく、いい話はないんですか? 今年はわたりさんの盟友の木塚さんがブルペンにコーチで入ってますし、金城さんだって復活しました。番長(三浦)もこの前勝ちましたし、何か、無理矢理にでも。
「……木塚は頑張ってる。あいつは若い投手に魂を伝えようと必死でやってるよ。タツ(金城)にしたってな、去年、全然使ってもらえず酒が抜けねぇからベンチの中で奈良漬みてぇになってたのに、今年はよく復活したよ。
オフのFAの時に電話貰ってさ、『わたり、俺悔しいよ。FAして他球団からどこも誘いがなかったらカッコ悪いから「もつ鍋 わたりからオファーが来てる」って会見で言っていい?』って泣かせることを言いやがってさ。『いいよ、タツはもつ鍋わたりのドラフト1位だ。店の酒、好きなだけ飲んでいいぞ!』って言ったら『うん! 俺、頑張るよ!』って。カワイイ奴なんだよ。オフから酒も飲まずに節制して体絞って、3番に返り咲いたからな。
番長はいい加減リーゼントのヅラが取れかかってるんだから、国分寺のノジマで等身大パネルになってる場合じゃねぇって。
細山田も芋山田(焼酎)ばかり飲んでる場合じゃねぇって」