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バンクーバー五輪、開幕直前情報!
高騰するチケットとカナダ人の熱狂。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakaomi Matsubara
posted2010/02/12 12:15
あ、暖かいな。
バンクーバー空港の外に出てまず感じたのは、穏やかな暖かさだった。
陽が落ちるとさすがに冷え込むが、ここ最近の冬のオリンピックの開催地と比べて、明らかに薄着で済む気候だ。この暖かさが災いして、フリースタイルとスノーボードの会場となっているバンクーバー郊外のサイプレスは雪不足に悩まされ、開催日の変更も検討され始めてもいるのだが。
今、バンクーバーで取材陣や観客の話題となっていることのひとつに、チケット問題がある。チケットが発売になった当初から完売が続出し、関心の高さが示されていたが、開幕を間近にさらにヒートアップしているのだ。
チケットが無いと取材できない! 記者泣かせの五輪。
先ほど“取材陣”と書いたが、実はIDパスを持っているだけでは、オリンピックでは入場できない競技がある。
冬の競技では、フィギュアスケート、アイスホッケー男子決勝、開閉会式がそれにあたる。会場が室内施設でありキャパシティが小さいにもかかわらず、取材者が殺到するような人気競技では、取材人数も制限されるというわけだ。まずは国際オリンピック委員会から各国の組織委員会を通じて配布されるチケットがなければ入場できない。当然その枚数は限られているため、手に入れられない記者やカメラマンは、一般のチケットを入手して会場に入ろうとする。ところがチケット・ブローカーや、バンクーバー五輪組織委員会が設けたオークションサイトでの価格は、女子のフリーであれば、最低でも15万円程度からの取引となっている。とても簡単に購入できる価格ではない。といって観ないわけにはいかないから、頭を悩ます記者は多い。
フィギュアだけでなく、あらゆる競技のチケットが高騰。
フィギュアスケートのチケットが高くなることは今までにもあったことだ。しかし、今回はさらに、スピードスケート、クロスカントリーといった競技までもが高騰しているのだ。スピードスケートでは本来95ドルのチケットが500、600ドルあたりになっているし、クロスカントリーでも25ドルのチケットが300ドルを超える価格に。しかも、大会直前になってもいっこうに下がる気配がない。これからチケットを購入しようという一般の観戦者にとって、辛い状況が続いている。トリノ五輪のとき、スピードスケートの会場ではスタンドの半分も埋まらない光景は珍しくなかったが、今回状況は一変している。
なぜここまで高騰しているのか。答えの手がかりは、メインチケットセンターでの様子にあった。