懸念材料を抱えるも、安定した戦力のチェルシーが本命か。

　こうして減点法で考えてきたときに、最終的に浮かび上がってくるのはチェルシーになる。チェルシーは4強の中でもっとも戦力の低下を免れているからだ。

　移籍が取りざたされたカルバーリョやデコは残留。ドログバ、ランパード、テリー、バラック、エシアンといった主軸も健在で、さらにはロシア代表のジルコフまで加わった。

　選手の平均年齢が高めなことや、新たなFWがいないためアフリカ選手権の影響が懸念されるのは事実だ。またテリーやツェフ、エシアンなどには、怪我の後遺症や体力の衰えもある。しかし主力選手の量と質で、チェルシーはマンＵを凌駕する。

　ここまでの試合内容も非常に安定している。大勝こそしないもののプレーは堂に入っているし、第1節のハル戦を除けば、困ったときのドログバ頼みも意外と少ない。

　もちろん監督交代という不安材料はある。アンチェロッティがダイヤモンド型の4－4－2にこだわっていることや、アネルカとドログバの関係も火種といえば火種だろう。

　だが基本的にアンチェロッティは、「調整型」の監督として知られる。モウリーニョほどカリスマ性はなくともグラントより人望はあるし、「ミラン・ラボ」の出身者だけに、スコラーリのようにいきなりフィジカルトレーニングを軽視するような真似もしないはずだ。優勝争いの本命にチェルシーを推す声が多いのは、十分にうなずける。

　最後は番外編でマンチェスター・シティ。プレミア版「銀河系」のシティは、主要チームの中で唯一、加点法の対象になる。しかも移籍市場では、本家の「銀河系」よりもバランスのとれた補強を行った。熟成がうまく進めば、かなり侮れない存在になってくる。

　今後の対戦相手はアーセナルとマンＵ。マンチェスター・ダービーは楽しみだが、その前のアーセナル戦も、ビッグ4の攻防を占う意味で見所が多い。