甲子園の風BACK NUMBER
プロ注目の左腕から名将復活まで!
甲子園の地方予選、近畿地区の見所。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/14 10:30
始まったばかりの大阪大会では、5回参考記録ながらノーヒットノーランを記録している太成学院大高・今村信貴。最速146キロのストレートとスライダーが武器。すでに、巨人、阪神、広島、オリックスがドラフトへ向けた動きを見せているという
大阪桐蔭のエースは身長197センチの右腕・藤波晋太郎。
この履正社に対抗するのが大阪桐蔭だ。エースは身長197センチの大型右腕、藤浪晋太郎(2年)。今夏の大阪大会1回戦で大阪桐蔭は強豪校の関大北陽と激突し4対0の接戦を制するのだが、この試合で藤浪が奪った三振は14個。何も数を誇らせようというのではない。内容を伝えたいのだ。
見逃し1に対して空振りは13個。このうちストレートの空振り4に対して、変化球の空振りは9個。
胸元いっぱいのストレートで打者を追い込むと、判で押したように外に逃げていく変化球で三振を奪うというパターン。配球パターンがわかっていても攻略できない。それほど藤浪の直・曲球は威力がある。とくに横変化の大・小2つのスライダーは凄まじい。
近畿ナンバーワン左腕の呼び声高い、太成学院大高・今村信貴。
この優勝候補2校に対抗するのが、近畿ナンバーワン左腕の呼び声が高い今村信貴を擁する太成学院大高だ。ストレートの速さばかり話題になるが、今村のいいところはバランスのよさ。
中心になる変化球は縦、横2種類のスライダー。左打者なら外に逃げる大きな横変化、右打者なら内角に鋭角にキレ込んでくる縦変化でカウントを取り、あるいは打者を打ち取る。
ストレートはアウトローに集中する。やや右肩の開きが早いが、真上から腕を振って投じられる外角低めのストレートは角度があって、低めの伸びも十分。今夏大阪大会1回戦の守口東戦では、5回参考記録ながら四球を1つ許しただけのノーヒットノーランに抑え、三振は10個記録した。
藤浪とは逆に、三振を奪った球は10個のうち9個がストレートで、そのうちの7個が空振り。さらに付け加えれば、そのコースは言わずもがなのアウトローである。
南一輝(投手)、中山悠輝(遊撃手)、前野幹博(外野手)たち有力1年生が主力のPL学園、全力疾走の清教学園など、持ち味が異なる有力チームがしのぎを削るのも大阪の特徴である。どこが飛び出すのか注意深く見守っていきたい。