甲子園の風BACK NUMBER
プロ注目の左腕から名将復活まで!
甲子園の地方予選、近畿地区の見所。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/07/14 10:30
始まったばかりの大阪大会では、5回参考記録ながらノーヒットノーランを記録している太成学院大高・今村信貴。最速146キロのストレートとスライダーが武器。すでに、巨人、阪神、広島、オリックスがドラフトへ向けた動きを見せているという
東洋大姫路では、黄金時代を築いた名監督が復帰!!
兵庫で注目しているのは東洋大姫路。'06年に一度は勇退し、次期東洋大の監督と言われ、野球解説者としても活動していた藤田明彦氏が5年ぶりに監督として復帰。昔から厳しい監督という評判があり、東洋大監督の噂が出た時に大場翔太(東洋大OB、現ソフトバンク)の代の選手に「怖い監督らしいよ」と言うと、「そうらしいですね」と震え上がっていたのを思い出す。
しかし、実際に接すると嫌みのない紳士で、話していて楽しかった。東都大学リーグの情報収集にもぬかりがなく、2~3年前だったか、某テレビ局の控室で、「亜細亜大が今、全力疾走しないんですよ」と言うと、「それ、どこにも書かないでくださいね」と言われた。手持ちの資料にしようというのだ。こういう欲望が一流監督の資質なんだなと思った。
今年は本格派右腕、原樹理がいる。育てたというより、監督復帰したら原がいた。藤田さんは運がいい。
和歌山は智弁和歌山が今年も強そうだ。青木勇人、蔭地野正起の投手陣に、野手は道端俊輔(捕手)、宮川祐輝(外野手)など、好素質の選手がごろごろいる。和歌山大会を勝つのは当たり前で、高嶋仁監督に求められているのは甲子園大会での勝利。プレッシャーがかかるが、それを栄養源にして大きくなってきた。そういう高嶋野球の集大成を今年は見せてもらいたい。