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菊池以外も豊作の'09ドラフト総論。
~慢性的に不足する左腕と右打者~
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byJMPA
posted2009/10/30 12:50
菊池を逃した代わりに誰をとるのか? 各チーム戦略を検証。
菊池を逃した(回避した)代わりになる「左腕」をどう補てんするか。
さらには「左腕」に次ぐ需要として近年求められてきているのが右打ちの野手だ。「左打者」偏重に歯止めをかけたい、という思いが各球団にも当然ある。
結果的にみると、今回のドラフトで左投手が指名されたのは13人。右打者は18人だった。プロが認めた数がそれだけだったということなのだが、では実際にこの数を各球団でどう分け合ったのか?
戦力外となった選手を省いて、現時点で左腕投手を抱えている数が最も少ないのは阪神で6人。次いでオリックスの8人、楽天9人である。
球界全体の需要をより大きく感じているのはこの3球団であろう。そして、分かりやすく行動したのはオリックスだった。
1巡目で菊池を回避すると、九州の大学球界で名の知れていた古川秀一(日本文理大)を指名。2巡目は右投手の比嘉幹貴(日立製作所)だったが、3巡目に山田修義(敦賀気比)、4巡目には前田祐二(福井ミラクルエレファンツ)、5巡目には阿南徹(日本通運)と4人の左投手を指名した。
左腕不足のはずの阪神と楽天は、違う動きを見せた。
左投手という部分で、こだわりを見せたのが中日。1巡目にこの夏の甲子園を沸かせた岡田俊哉(智弁和歌山)、2巡目でも高校生左腕の小川龍也(千葉英和)の左腕を揃えた。
一方で、左腕不足の阪神と楽天はというと、手薄な層を補充するには至らなかった。
菊池を外した阪神は1巡目で150kmを超すストレートが魅力の右腕・二神一人(法政大)を指名したあと、2巡目で、地元・立命館大の左腕・藤原正典を指名した。しかし、左投手は彼1人。4巡目で右投手の秋山拓巳(西条)を指名している。現在25人もいる右投手(左投手は6人)がさらに2人も増えるのは左右のアンバランスさを加速させる。ヤクルト外れ1位の中澤雅人(トヨタ自動車)やオリックス3位の山田も狙えたのではないか?
楽天にも同じことがいえる。9人しか左腕を抱えていない中、さらに'05年の高校生ドラフト1位の片山が打者転向もうわさされるというのに、左腕指名が今回ひとりも無かった。
ただ右打者という部分では、阪神の場合、甲斐雄平(福岡大)、藤川俊介(近畿大)、原口文仁(帝京)らを指名しているのが見逃せない。足らない部分を補おうという姿勢が全くなかったわけではないのだ。