それにしても、なぜ彼らは長期間にわたり、活躍を続けてこられたのか。もちろん、競技に適した才能を持っていたこともあるだろうが、そればかりではない。

　例えば岡崎の尋常ではないストイックさ。岡部の自分自身を徹底的に信じきる力。迷いながらも立ち止まることのなかった上村の努力。

　一言でまとめれば、競技へのひたむきな姿勢こそ活躍してこられた理由であり、アスリートにとって何が大切かを物語ってもいる。

　長く活躍してきた彼らだが、その中には、バンクーバー五輪を集大成と位置づける選手もいる。最後の大舞台となるかもしれないという点で、バンクーバーはメモリアルな大会になる。

　一方で、彼らの姿を見てきた若い世代から、彼らに追いつけ、追い越そうとする選手が姿を見せ始めた。上村、里谷が引っ張ってきたモーグル女子界にあって、世界選手権銀メダルを獲得した伊藤みきはその代表だろう。

　日本の冬季競技を引っ張ってきた選手の、もしかしたら最後の姿。とってかわろうとする次代の選手たち。彼らがバンクーバー五輪でどんなプレーを見せるのか楽しみである。いや、大会までの過程のトレーニング、創意工夫にこそ、彼らの真骨頂があるだろう。その姿を見ることもまた楽しみだ。