Jリーグ観察記BACK NUMBER
Jリーガーが欧州の主力選手に。
“第2のハセベ”はどこにいる?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2010/01/07 10:30
2009年のナビスコ杯決勝で25mの先制弾を決めMVPとニューヒーロー賞を獲得したFC東京の米本は、今年最も注目すべき選手の一人だろう
城福監督が発掘したFC東京の米本は注目に値する。
今回、この中からクローズアップしたいのが米本だ。
米本はサッカー界において、決してサラブレッドではない。中学生のときはほぼ無名の存在で、U-17日本代表監督の城福浩(現FC東京監督)が別の選手をチェックしに行ったところ目に留まった選手だ。一歩間違えれば、そのまま兵庫県で埋もれていたかもしれない。U-17W杯・アジア予選の直前には疲労骨折が見つかり、遠征メンバーから外れるという悔しさを味わったこともあった。それでもU-17W杯本番のメンバーには滑り込み、今季プロ1年目にもかかわらずFC東京のレギュラーに定着して、ナビスコ杯のニューヒーロー賞に選ばれた。これはかつて長谷部も受賞した賞だ。
長谷部との共通点が多い米本はブンデスでも即戦力!?
他にも2人には共通点が多い。
足が速く、球際のぶつかり合いを苦にせず、チームメイトから縦パスがうまいと評価され、さらにドリブルでボールを運ぶ力もある。24時間サッカーに打ち込むという姿勢も似ている。第2の誰々と呼ばれるのは迷惑な話かもしれないが、ドイツ人の代理人がブンデスリーガのクラブに売り込むときには、きっと「ハセベに近いタイプ」と説明するのではないだろうか。まだチームの流れが悪いと、それに飲み込まれて疲労を蓄積させてしまう傾向があるが、恩師・城福の下でさらに経験を積めば、安定感が増すはずだ。
現在、日本サッカーは停滞期に突入しているように見えるが、少なくとも選手個人の力はヨーロッパのレベルに近づきつつある。再び代表経験の少ないJリーガーが欧州でサプライズを起こす日は、そう遠くないはずだ。