チャンピオンズリーグの真髄BACK NUMBER
布陣が選手を育てる。
――バルサにおける“卵か鶏か?”論
text by
杉山茂樹Shigeki Sugiyama
photograph byTakuya Sugiyama
posted2009/04/20 07:02
日本にストライカーが育たない原因のひとつ。
日本に3FWの文化が失われて何年になるだろうか。ウイングというポジションがなくなって何年経つだろうか。ドリブルで縦に抜いていく突破力を備えたストライカーがいない理由は、サッカーゲームの進め方と深い関係がある。
以前、3FWを採用しない理由を訊ねられたある指導者が、良いウインガーがいないからと答えていた。卵が先か鶏が先かではないが、布陣が選手を育てるという考え方を無視するわけにはいかない。バルサのサッカーを見ているとつくづくそう思う。
ドリブル&シュートが期待できるストライカー兼ウイング。そうしたFWを3人揃えたバルサのサッカーと、日本のサッカーとは、まさに水と油。対極の関係にある。似ているのはパスを繋ぐという現象面だけ。本質には決定的な違いがある。
僕は、バルサスタイルのほうがはるかに好きだ。