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<ハードラーの「自転車」論> 為末大 「走ると漕ぐは似てます」
text by
柳橋閑Kan Yanagibashi
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/06/16 06:00
「興味があるんですよ。自転車でも最高速の世界に」
動きをよりランニングに近づけるには、ビンディングペダルで引き足を使うのも大事な気がします。ランニングも高速になると引き足が重要で、来るべきところに足を持って来れば、着地は「自ずと踏む」ような感覚になります。自転車でも引くのが大事だと言われますよね。そのあたりが上手にできるようになると、本質的な部分は自転車もランニングも同じ理屈になっていくんだと思います。
いま、僕の中で自転車は確実に身体を追い込めて、かつ怪我のリスクがない、「安全で量をこなせる練習」のカテゴリーに入っています。ビーチランも含めて、こうした新しい選択肢も揃ってきて、ロンドン五輪に向けての準備が整った手応えがあります。
一方で自転車がすごく好きになったので、たぶん引退したら乗りまくると思います。変な意味、引退が待ち遠しいというか(笑)。
陸上競技とのバランスを考えなくてよくなったら、今度は自転車でどこまで速くなれるかも試してみたい。ランス・アームストロングのようにはなれないですけど、彼の領域でどんなことが起きているのかは知りたいですね。アスリートとして「9秒台の世界」を知りたいのと同じように。あとタイムトライアル用のバイクにも乗ってみたい。やっぱり20年以上「速いものが偉い」という世界で生きてきたから、興味があるんですよ。自転車でも最高速の世界に。
◇ ◇ ◇
◆為末大さんへのQ&A
1978年5月3日、広島県生まれ。ハードル選手
Q1 どのくらいの頻度で乗っている?
1~2週間に1回、トレーニングに採り入れています。
Q2 自転車を始めたきっかけは?
膝の痛みで練習ができないときに運動量を確保するため。
Q3 自転車に乗って変わったことは?
心肺機能が上がったうえ、大腿四頭筋が発達して膝の痛みも解消。陸上の練習ができるようになりました。
Q4 自転車に乗る日のタイムスケジュールは?
この冬は平日にビーチランとウェイトを交互にやり、週末だいたい5~6時間ロードバイクに乗ってました
Q5 今後の目標
自転車そのものが楽しくなってきたので、引退したら乗りまくると思います。ヒルクライムも興味ありますね。
Q6 お気に入りコース
サンディエゴの海岸沿いに続く自転車専用ロード。