リーガ・エスパニョーラの愉楽BACK NUMBER
いまリーガで最も旬な男。
カナーレスはスペインの至宝となるか。
text by
中嶋亨Toru Nakajima
photograph byMutsu Kawamori
posted2010/01/28 10:30
スペインのみならず、海外のビッククラブも注目しているというセルヒオ・カナーレス。今月14日の記者会見では「現在、僕は自分の状況について何も否定していない。でも、ここで満足しているのも事実だ」とコメントした
現時点でのレアル移籍は早計ではないかと懸念する声も。
一方、カナーレスの才能を認めながらも、レアルへの移籍は早すぎるという声も少なくない。ヨハン・クライフは自身の連載コラムの中で「レアルという巨大なクラブの一員になるのがあまりにも早過ぎると、プレッシャーに押し潰される危険性もある」とカナーレスの将来を危惧している。
しかし、元スペイン代表でディ・ステファノらと共にレアル史上最高の黄金期を築いたマルキートス氏は「セルヒオ(・カナーレス)なら大丈夫だろう」と言う。息子は元スペイン代表、孫は最近レアルでトップチーム昇格を果たしたサッカー一家の長でもあるマルキートス氏の目には、カナーレスが「10年選手のようにサッカーを落ち着いて見ることができている」と映っている。
「少年時代、セルヒオはサッカーに支障があることは決してしなかった。夜遊びに行かないで、週末はサンタンデールに遊びに来たマルコスたちと一緒にサッカーのビデオを見ていたよ。彼にとってはサッカーが一番大事なものなんだろう。レアルは彼を獲得するだろうが、セルヒオはラシンにレンタルという形で1年残る事を希望した。それは彼が、今は試合に出場することが最も大切だと理解しているからだ。孫のマルコスと友達のセルヒオが、一緒にレアルのユニフォームを着てプレーする事になったら最高だね」
ちょうどシーズンの半分を迎えたこの時期に脚光を浴びているカナーレス。ここからさらに活躍する事ができれば、「プレッシャーにも強い選手」という評価を勝ち得ることができるだろう。そして、「代表に呼ぶのに年齢は関係ない。その実力があれば、彼もワールドカップを戦う一員に入るだろう」と語ったデル・ボスケ代表監督からの招集もかかるはずだ。