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「不思議の勝ち」と崖っぷち球団。
~ア・リーグ中地区の天国と地獄~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2011/06/06 10:30
ア・リーグ最高勝率で中地区1位を快走するインディアンス。4年ぶりのプレーオフ進出なるか
軒並みプレーオフ進出が難しくなっている古豪球団。
予想外の不振にさいなまれている球団はほかにもある。
ホワイトソックス(25勝31敗)、カブス(23勝29敗)、ドジャース(25勝30敗)といった古豪球団が、いずれもプレーオフ・スポットに届きそうもないのだ。
参考までに、ワイルドカードが採用されるようになった1995年以降の16年間を振り返ってみよう。
データをひっくりかえしてみると、5月末の時点で「勝率5割に5ゲーム及ばず」、なおかつ「ワイルドカード・レースの首位チームから5ゲーム以上離されている」球団がプレーオフに進出する可能性は、5パーセント以下なのだ。
過去に崖っぷちからプレーオフに進出したチームには明快な転機が。
もちろん、例外もないではない。
2005年のアストロズ(19勝32敗)、'07年のヤンキース(22勝29敗)、同じく'07年のカブス(22勝29敗)、そして'09年のロッキーズ(20勝29敗)は、それぞれ崖っぷちから這い上がってプレーオフに進出した。ただし、どのチームにも明快な理由やきっかけがあった。
アストロズは、先発3本柱(クレメンス+ペティット+オズワルト)が復活した。ヤンキースは打線が活発になった。カブスでは、ザンブラーノとバレットがベンチで派手な殴り合いを演じたあと、奇妙な一体感が生まれた。ロッキーズの場合は、ハードルからトレイシーへの監督交代が吉と出た。
どれもこれも、潜在能力の高さと風向きの変化が相俟った結果にほかならない。