スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
「不思議の勝ち」と崖っぷち球団。
~ア・リーグ中地区の天国と地獄~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2011/06/06 10:30
ア・リーグ最高勝率で中地区1位を快走するインディアンス。4年ぶりのプレーオフ進出なるか
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」と野村克也はいった。
当たっている。少なくとも2011年のア・リーグ中地区は、この格言を地で行っているような感がある。
不思議の勝ちをつづけているのは、インディアンスだ。
打率はリーグ5位(5月30日現在、以下同)、本塁打数はリーグ6位、盗塁数はリーグ10位、防御率はリーグ8位、奪三振数はリーグ13位。どこから見ても凡庸なスタッツだし、スター選手も少ない。強いて挙げれば、伸び盛りのアスドルバル・カブレラ遊撃手が注目株といえそうだが、彼とて大器のイメージはない。にもかかわらず、インディアンスの勝率はア・リーグ最高の6割8厘を維持している。
全30球団中最低の勝率にあえぐツインズはもはや打つ手なし。
一方、やはりね、と思わせる負け方をつづけているのは、開幕前に私がこの地区の本命に推したツインズである。
ここはなんといっても、主砲マウアーの戦線離脱が大きい(今季は9試合しか出ていない)。のみならず、モーノー、カダイヤー、トーミ、ヴァレンシアといった主軸打者が2割5分前後の打率しか残せていない(本塁打も非常に少ない)。まともなのはクーベルぐらいだが、彼ひとりでは迫力不足の感は否めない。
しかも、投手陣がひどい。パヴァーノやリリアーノといった先発組の防御率は5点台のていたらくだし、抑えの切り札ネイサンに至っては7点台という惨状を呈している。これでは、知将ガーデンハイアといえども打つ手がないのではないか。
そんなわけで、ツインズは全30球団中最低の3割2分7厘という勝率にあえいでいる。私に限らず、このチームをア・リーグ中地区の本命に推した人々は、おしなべて頭を抱えているにちがいない。