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ラスト5試合で強かった
鹿島と大分の“安定装置”。
~中田浩二と菊地直哉の貢献~ 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byMasahiro Ura

posted2009/12/22 10:30

ラスト5試合で強かった鹿島と大分の“安定装置”。~中田浩二と菊地直哉の貢献~<Number Web> photograph by Masahiro Ura

28節までは途中出場が多かったが、ラスト6試合はすべてフル出場を果たした中田浩二

菊地直哉による“オシム流”で大分は巻き返しを狙う。

 一方、大分は菊地直哉が新しい風を吹き込んだ。

 大分は菊地が初出場した25節から最終節(34節)まで、5勝5分と1度も負けなかった。シャムスカ監督時代の“借金”のせいで降格を免れることはできなかったが、ラスト10試合だけなら優勝争いに絡めるほどの好成績を残したのだ。

 19節から大分の指揮を取ったポポビッチは、守備の選手にもパスの起点になることを求めるオシム流の後継者だ。菊地という守備のスペシャリストが加わったことで組織が安定し、さらにパスの出し手が後方に増えたことでポポビッチ・サッカーが表現されるようになった。特に32節に川崎に勝った試合は圧巻だった。

 ひとつ残念なのは、大分の財政難でポポビッチの続投がなくなったこと。菊地が「ポポビッチ監督はDFにもパス出しを要求してくるのでおもしろい」と語るように、来季のJ2の目玉になる可能性があったのだが……。

 それはさておき、この2人のプレースタイルを見れば、シーズン終盤に何が大切なのかが見えてくるだろう。

“負けたら終わり”のW杯で必要なのは守備の“安定装置”だ。

 冒頭で触れたように、シーズン終盤というのは、チームによっては、負けたら終わりという決勝トーナメントになる。そういう状況では、まずは失点をゼロに抑えることが重要になるに違いない。だから、中田や菊地という守備の“安定装置”を持ったチームが、終盤に強かったのではないだろうか。

 もし日本代表が2010年ワールドカップで上位を狙うのなら、攻撃ばかりに目を向けるのではなく、守備を安定させられる選手もメンバーに入れておくべきだろう。

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