セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
フィオレンティーナの復活。
CLでイタリア健在の雄叫びを上げる。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2010/01/23 08:00
古豪フィオレンティーナが復活。チームを牽引するのは、ムトゥとジラルディーノだ
花の都フィレンツェが沸いている。フィオレンティーナが、難敵リバプール、常連リヨンと同席したCLグループEを堂々の首位で突破してみせたのだ。
とくにリバプールとの2戦は、今季前半戦の白眉といえる。ホームでの初戦(第2節)でモンテネグロの新星FWヨベティッチが爆発。圧巻の2ゴールで先勝すると、彼の天然パーマ頭を模した紫毛カツラが大流行した。アンフィールド・スタジアムでのグループ最終節でも逆転勝ち。下馬評を完全に覆したヴィオラ(=紫、チーム愛称)に、フィレンツェの街がやんやの喝采を贈ったのは言うまでもない。翌日の地元紙は「このチームは伝説的だ」の見出しを掲げ、'99-'00年シーズンの写真を傍らに添えた。ウェンブリーでアーセナルを下し、グループの劇的突破を決めたゲームでFWバティストゥータが躍動する写真だった。
強力な得点源となるFW2人の活躍が躍進の原動力。
今のフィオレンティーナの得点源は、ムトゥとジラルディーノによるFWコンビだ。
昨年8月に、FIFAからの罰金1700万ユーロが話題になったムトゥは、開幕後も左膝の故障などに悩まされ続けた。11月初旬のCLデブレツェニ戦以降、2カ月間の長期離脱。年が明けてようやく、18節シエナ戦で復帰ゴールとともに帰ってきた。責任感の強いムトゥは欠場した分を後半戦で取り返すべく、「神がかり的だよ」とプランデッリ監督が驚くほどやる気に満ちている。
指揮官が敷く「4-2-3-1」は、高い両翼の攻撃参加がベースにあるため、中盤の体力的負担も大きい。マルキオンニやザネッティといった職人的MFの支えを受けつつ、ムトゥ不在を感じさせなかったのが、FWジラルディーノの活躍だ。'08年夏にミランから移籍して以来、公式戦出場69試合で38得点(1月18日時点)という驚異的なペースでゴールを積み重ねてきた。CLリバプール戦、アンフィールドでのロスタイム決勝弾は、フィオレンティーナでの欧州カップ戦10得点目。バティストゥータが持っていたチーム記録に並んだ。
ジラルディーノは、歴史ある街のシンボルになることの重みと感慨をこう振り返った。
「リバプール戦でのゴールは人生で最も重要な1点になった。あのゴールで、フィレンツェをこの手につかんだ気がする」