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ジーコ緊急インタビュー 「岡田監督を信じて、戦い続けよ!」
text by
シルビオ・ナシメントSilvio Nascimento
photograph byNaoya Sanuki
posted2009/06/05 11:00
生きるか死ぬかの一戦を前に、“戦う集団”が完成した。
――予選終盤の試合となる北朝鮮戦では、柳沢と大黒のゴールで2-0と勝利してワールドカップ出場を決めました。引き分けでも本大会出場が決まる一戦でしたが、チームと監督自身、どのような心境で試合に臨んだのですか?
「選手たちにとってはまさに生きるか死ぬかの重要な一戦だった。我々は互いに本当によくコミュニケーションをとってきていたしね。そして私には、就任以来ずっと一緒の選手たちと一心同体となった“戦う集団”があった。私がベースとなる選手をあまり入れ替えたりせず、大切にしてきたのも、このような時にこそ力になってくれると信じていたからだ。
北朝鮮戦はとても異常な雰囲気の中で行なわれたんだ。スタジアムの扉は閉められていたしね。しかし我々はスタジアムの外で2000人近くのサポーターが我々を応援してくれているのを知っていた。だからこそ、すべてが決まる重要な一戦であるにもかかわらず、選手たちは落ち着いて試合に臨み、目的を達成できたんだ」
メディアは監督の日々の細かい仕事までをあげつらいすぎだ。
――ドイツワールドカップを戦ってみて、当時の日本代表と日本のサッカーがいかなるものだったのか、時間が経った今だからこそ分かることはありますか。
「私は常々口にしているのだが、メディアの多くが監督の日々のこまごまとした仕事までをあげつらい、分析することは卑怯なことではないかな? 例えば、ヨーロッパでプレーする選手を毎試合きちんと確保できなかったり、選手が怪我をして困難な状況になったりした時など特にね。そのせいで強化が進まなかった、と言い訳にすることはできないのだろうが……。
たしかに我々はもっとやれたのではないか、もっと別の形で進化できたのではないかと思う人は多いかもしれない。しかし我々は限られた期間で結果を求められていた。常に決定は瞬時に行なうものではあるのだが……私は自分の下してきた決定に対してまったく後悔はしていないよ」
岡田ジャパンのベースとなっているのはジーコ時代。
「ドイツワールドカップで我々は、オーストラリア戦の最後の8分間で決勝トーナメント進出を逃した。残念ながら、それも我々のしてきたことの一部でもあるのだよ。
しかしオーストラリア戦の8分間の失敗だけで、我々が4年間にしてきたことが、軽視されてはならないと思う。断固として我々の4年間を軽視すべきではない! その努力の証明となるのが、岡田ジャパンと呼ばれる現代表のベースが私によって創られたものであるという事実だ。しかもそのチームが、ほぼワールドカップ出場を決めるところまで来ているのだから」