オフサイド・トリップBACK NUMBER
長友と内田のCL対決で見えてきた、
これからの海外移籍と育成の方程式。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2011/04/22 10:30
「ウチダとナガトモの攻防は、まるでクロサワ映画のようだった」と現地メディアで称された激しい対決。『ガゼッタ・デロ・スポルト』では欧州CL準々決勝でのマン・オブ・ザ・マッチに長友が選ばれている。チェゼーナからインテルへ条件付き移籍をしていた長友だが、この夏までに完全移籍となることが現地報道で伝えられた
「日本のスタイル」は試行錯誤の末に確立されるもの。
試行錯誤は「日本のスタイル」についても続いている。
オシムが監督になってから、「日本サッカーの日本化」というテーマが盛んに口にされるようになった。当然といえば当然だが、行き着く先は誰にもわからない。理想をどんどん追求していけば、いずれはあらゆる国のサッカーが収束してくるのかもしれないし、そうなれば、日本サッカーのスタイルが、アイスランドあたりのサッカーと瓜二つになるような日が来ても不思議はないということになる。
だが世の中には「変われば変わるほど同じまま」という側面もある。たとえばドイツサッカーは、いかにオランダ化やスペイン化が進んだとしても、基本的にドイツサッカーでしかありえない。これは、今後どんなに人と情報と金とノウハウが国境を越えて行き来するようになっても変わらないだろう。日本サッカーもまた、収束と分散という相反する二つの潮流の中で、試行錯誤をしていくしかないのである。
長友は所属クラブの「格」においては日本人の最高峰に立ったし、内田はチャンピオンズリーグの舞台でベスト4進出を果たし日本人の最長不倒距離を更新した。
欧州がクライマックスに差し掛かる今、日本でもついにJリーグが再開される。
激動のシーズンになることは必至だが、新しい才能の萌芽と成長を、欧州組の動向を横目にチェックしながら注視していこうと思う。