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CLインテル戦の大勝は必然か?
新監督がシャルケにかけた「魔法」。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2011/04/12 10:30
プロ選手としての経験はないが、52歳で監督歴28年を誇るラングニック
“教授”ラングニックの理論にはファンハールも脱帽。
ラングニックは、2004年から2005年にかけてシャルケの監督を務めたことがあり、2度目の就任だ。ニックネームは「教授」で、プロ選手としての経験はないが、卓越した戦術理論を武器にブンデスリーガの4クラブの監督を歴任してきた。昨季からマインツの監督を務めて注目を集めるトゥヘル監督などは、プロ選手としての経験のないラングニックの系譜をたどる人物だ。
現在は湘南ベルマーレを指揮する反町監督もラングニックの目指すサッカーに心酔しており、北京オリンピックのあと、湘南ベルマーレの監督に就任するまでの間にホッフェンハイムに滞在して、その理論を学んだという。
そんなラングニックには、“戦術マニア”のファンハールも一目置いている。
2009-2010シーズンの開幕カードで、当時ラングニック監督が率いていたホッフェンハイムとバイエルンが対戦したときのこと。ファンハールは、試合後の記者会見で同席したラングニックに向けて、帽子をとるアクションを見せ、「降参だよ」と口にしたのだ。
シャルケは現在リーグ10位。来季のCL出場は絶望的だが……。
ラングニックが一つひとつのプレーに速さを追及するあまりに、しばしば精度を欠くという問題はあるのだが、今のシャルケでは少なくとも効果的なアクセントになっている。
『WAZ』紙は指摘する。
「ラングニックはシャルケにとても魅力的な攻撃サッカーを持ち込んだ」
シャルケは第28節終了時点で、リーグで10位に甘んじており、来季のCL出場権を得るのは難しい状況にある。だからこそ、今季のCLにかける思いは強い。一方で、シャルケのキャプテンを務めながら、クラブの資金不足の影響もあり、今季終了後にバイエルンかマンチェスター・ユナイテッドに移籍するのではないかと見られているノイアーは、こんなことを語っている。
「まだ、準決勝進出が決まったわけではない。でもさ……優勝したら来季もCLに出られるんだよね」
果たして、「魔法」はどこまで続くのだろうか。