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“公立校の星”加古川北が大躍進!
「勇気」を旗印にセンバツ準々決勝へ。 

text by

氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2011/03/30 12:45

“公立校の星”加古川北が大躍進!「勇気」を旗印にセンバツ準々決勝へ。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

理想の投手像を尋ねられると「究極の打撃投手です」と語る加古川北のエース井上真伊人。100キロ台のスローカーブやカットボール、内角へ鋭くきまる直球などを武器とする。普段からブルペン調整をせずに、打撃投手として練習し、類まれな投球術を身に付けた

優勝候補の金沢を、エース井上と積極的な走塁で撃破!

 1回戦の金沢戦は加古川北らしい試合運びが展開された。

 ノーヒットで迎えた5回表、加古川北は6番・小田嶋優がフェンス直撃の二塁打で出塁すると、中継がもたつく隙をついて、三塁へ進塁。金沢の遊撃手がボールを持った時、三塁手がプレーに集中していない隙を見抜いたのだ。

 7番・佐藤宏樹の四球のあと、8番・宇治橋佑斗の打席で三塁走者の小田嶋が飛び出してしまうが、強引に本塁へ突っ込むと、相手守備がミス、1点を先制した。さらに宇治橋が中前へ適時打を放ち、1点を追加。試合の主導権を握った。

 守ってもエースの井上がコーナーを丹念に突く投球。「雑誌などで僕のスローカーブのことを書かれていたので、向うは研究してくると思った。あえて、少なめにした」という巧みな投球術で相手打線をかわした。2安打に抑える、完璧なピッチングだった。

 7、8回にも果敢な走塁で1点ずつを加え、4-0で快勝。積極的な走塁で先の塁を狙う攻撃と井上の巧みな投球術、堅実な守備陣で、優勝候補・金沢を圧倒したのである。

「『強豪・横浜を破った』公立校の波佐見」を破った公立校・加古川北。

 2回戦の相手は強豪・横浜を破った波佐見。

 加古川北と同じく公立校で、強豪校を倒して勢いに乗ってきた相手だ。波佐見のエース松田遼馬は最速148キロを誇る九州屈指の右腕だが、ここでも、加古川北は、持ち前の足をからめた攻撃を積極的に仕掛けた。

 1回表、先頭の渋村涼亮が右翼前安打で出塁。相手右翼手が後逸している間に渋村は三塁へ。3番・柴田誠士の適時打で1点を先制した。さらに、柴田は、2つの盗塁を決め、松田を揺さぶった。その後は追加点を奪えなかったが、8回表、1死・三塁からエンドランを仕掛けて、二塁ゴロの間に三塁走者が生還。貴重な1点を挙げた。エースの井上は初戦ほど好調ではなかったとはいえ、打たせて取るピッチングで、この日も完封した。

これっぽっちも「恐れ」を抱かぬ、果敢な戦いぶり。

 加古川北の戦いで目立つのは積極的な走塁。

 彼らの姿勢から感じられるのは、これっぽっちも「恐れ」を持っていないということだ。

 福村監督は「リスクは確かにありますけど、そこを恐れてしまったら、自分たちの野球はできない」と、普段から積極的な走塁をさせているという。

 例えば、この日2盗塁を決めた柴田は「ある選手が1試合で4盗塁もしていた。かっこいいなぁと思った。自分にも刺激になりました」と、全く動じる様子がない。

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