野球善哉BACK NUMBER
高校野球史に残る大会に……。
東北勢も参加したセンバツ大会展望。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2011/03/22 13:20
学校関係者や応援する地元のファンに送られ甲子園に向かった東北高校のナインたち。甲子園へ赴く選手以外の野球部員は、被災地での活動に参加している
ガッツポーズなど球児の感情面でのコントロールが重要。
それらを考慮すると、今大会にはある程度の節度が必要なのかもしれない。
筆者が個人的に思うのは感情表現のコントロールである。派手なガッツポーズやパフォーマンスは控えるべきかもしれない。近年のオーバーアクションにも見えるガッツポーズなどのパフォーマンスは、TV中継などによるメディアが生み出した現代高校野球の悪しき慣習ととらえていたが、そこに高校生の無邪気さを感じなかったわけではなかった。
しかし、今大会はそうともいっていられない。
震災により命を奪われ、中には大好きな野球を奪われた子供たちがいる。喜びは胸にしまい、淡々と戦う立ち居振る舞いが求められる。
また、野球はミスが付きもののスポーツだが、例えば、相手がミスをすると、自分たちがラッキーだからといって手を叩いて喜んでしまいがちだが、そうした行為もやめた方がいいだろう。むしろ、良いプレーが出た時にこそ、敵味方関係なく賞賛し、よりよい空気を生みだしてほしい。
勝ち負けはスポーツに付きものとはいえ、勝敗を超えた素晴らしさが高校野球にはあることを、多くの人にメッセージとして伝えるためにも、相手のミスに喜ぶより、野球の中での最高なプレーを互いで喜べるものであるべきである。
今大会が高校野球の歴史にとって、大きな意味を持つものになるように、と願うばかりだ。
大会は明日23日に開幕。12日間の予定で行われる。