今回は、開幕目前に迫ったミラノ・コルティナ五輪の男子の展望について。日本男子を中心に、「4回転の神」絶対王者イリア・マリニン(米国)や、その他上位に絡んできそうな選手についても語った。
「日本男子は本当に3人ともメダルを取れる実力があります。もちろん鍵山(優真)選手がエースという立場ではあるものの、3人ともそれぞれの自己ベストや瞬発力などいろいろ考えると、オリンピックは何が起こるかわからないこともありますので、3人ともメダルチャンス濃厚です。マリニン選手のメダルは固いとしても、日本はメダル2つはいけるんじゃないか、と私は準備しています」
そう話す野口さんは、開幕から現地で取材予定。前回の北京大会で銀メダルを獲得し、今回は金メダルを狙うエースの鍵山についてこう続ける。
「本人はもちろん金メダルを狙って、どうやったらマリニンを超えられるかという戦略を立てていっています。やはり金を狙わないと銀も取れません」。北京五輪の時は総合310.05点が出ており、これが彼の自己ベストとなっているが、オリンピックでは他の大会よりも点数が高めに出る傾向がある。普通にやれば総合315点は出せるのでは、と野口さん。「とにかくジャンプをしっかりまとめれば、演技も、ジャンプの加点、質の高さも圧倒的です」
佐藤駿については「今年の安定感が神」と評する。昨シーズンまでは高い技術を持っていたものの、メンタル面の弱さもあって突き抜けられなかった印象だった。2025年3月の世界選手権前に、宇野昌磨さんから練習方法や試合に臨む際のメンタル面についてアドバイスを受け、そこから変わってきた。
いま彼が取り入れているのが、試合前に自分の大好きな羽生結弦さんの動画を見て、イメージトレーニングをすることだという。「これをやったら緊張しなくなった、と話していました。自分のいいパターンを見つけた感じですよね」

持っている実力は世界トップレベルだが、実はまだベストスコアは292.08点と300点を超えたことがない。「今回のオリンピックで、300点は十分超えていける能力があるなと思います」
三浦佳生については「もう何の心配もいらないね」と笑いながら話す野口さん。全日本選手権で‟覚醒”し、四大陸選手権でも勢いそのままに優勝。「怖いものなしで、完全にいつもの‟ランボルギーニ”に戻ってきた状態なので、このままイタリアで思いっきり走らせてください、という感じですね」
三浦は、常にこちらの予想を超えてくる選手だという。本番では「このジャンプを実は用意していました」ということもあるかもしれないし、4回転ループ、フリップ、サルコウをすべて入れてくるのか……初めてのオリンピックで暴れる彼の姿を存分に楽しみたい。

そしてこの3人で代表となる五輪の相乗効果についても野口さんは語る。が、1つだけ心配なこともあるという話に……。
「歴史を変える選手」としてもマリニンの滑りに注目
マリニンは12月のグランプリファイナルのFSで4回転7本を成功させ、合計332.29点で優勝。五輪でも4回転7本でいくのか、それとも安全策を取るのかでもかなり勝負の行方は変わってくる。「4回転5本でも330点ぐらいは取れる状態です。それでも『オリンピックで4回転を7本決めるんだ』と固執して、少し歯車が狂った時に全部少しずつ回転不足が取られたら、わからなくなります」

だからこそ鍵山は金を狙っていくべきだし、そういう作戦も立てて練習していると野口さん。しかしマリニンのジャンプ力は、フィギュアスケートの歴史に残る圧倒的なもの。「単純に日本のライバルということではなくて、いちフィギュアスケート選手として、やっぱりこのオリンピックで一つ金字塔を立ててほしいなという気持ちはありますよね」。歴史を変えうる存在としての彼の滑りにも注目したい。
ポッドキャストでは他にも、以下の話題を話している。
- 鍵山優真の「オリンピックミラクル」再来となるか
- 真面目な佐藤駿が「やりだすと止まらない」ものとは?
- もしマリニンのジャンプが成功したら、日本でも「ロシア跳び」を……
- 最終グループの4人は固い、ではその他の選手は?
- ユーロ優勝のニカ・エガゼ(ジョージア)の五輪はどうか
- 復活のボーヤン・ジン(中国)は最終グループ候補
日本3選手とマリニンは最終グループに入るつもりで準備していると話した野口さん。しかし何が起こるかわからないのがオリンピック。団体戦を経てすぐに個人戦となる男子、頂点の戦いをしっかりと見届けたい。(1月30日収録)
※ポッドキャストをお聴きいただけるのはNumberPREMIER会員限定で、このページ下部でご視聴いただけます。
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