NumberPREMIERでは、再び箱根駅伝常連校への道を歩み出した日本大学を徹底解剖。近日中に、元監督で現在スカウトを担当する武者由幸コーチのインタビューも公開する。
「9区の途中までは『目標達成だな』と運営管理車の中でマネージャーと話していたんですけど、横浜駅くらいから前との差が縮まってきて、そこからはドキドキですね。ひょっとしてって」
8区終了時点で、日大はシード権のボーダーとなる10位。前には9位・中央学院大、さらにその前には復路一斉スタートの関係で見た目の走行順と順位が異なる12位・帝京大が走っていた。9区を任されたキャプテン・中澤星音(4年)は、14.5km横浜駅のポイントで中央学院大と26秒差をつけられていたが、そこから追い上げ、鶴見中継所では9位に浮上して襷をつないだ。
新が冒頭のコメントで触れた「目標達成」はシード権獲得のことではない。戦前の目標は『シード権争いに絡むこと』。仮に11位でも、この展開なら十分「目標達成」だと感じていた。
ところが、レースは新の想定を超えた。10区、帝京大が“見えないシード権争い”から抜け出して9位に浮上すると、シード権争いは日大と中央学院大の一騎打ちへ。アンカー・大仲竜平(4年)が19km手前で中央学院大を振り切って10位でフィニッシュ。12年ぶりのシード権をつかみとった。

「本当に私もびっくりしています。シード権争いに絡んで、その上をいくのは想像外ですね」
新の“ドキドキ”は、逃す不安ではなく、獲れるかもしれないという期待だった。
就任時に掲げていた目標は「3年で箱根出場、5年でシード獲得」。それを1年目で出場、3年目でのシード獲得と、すべて前倒しで実現した。そのことを問うと「私も年ですから、そんなに先が長くありませんからね。棺桶に片足を突っ込んでますから、早く勝負していかないと時間がないですから」と茶目っ気たっぷりに笑顔を見せた。
近年の箱根駅伝は、かつてないスピード時代に突入している。強化大学が増え、戦いは優勝争いだけでなく、シード権争いまでも年々熾烈さを増している。エース頼みや、“定石”の区間配置では戦いきれず、全区間での総合力がより問われる大会へと変化している。
その現実を物語るのが、タイムの変化だ。第93回大会の10位は11時間17分00秒だったのが、第102回大会では10時間53分56秒まで縮まった。10位のボーダーとして史上最速である。さらに、11位の中央学院大でさえ10時間54分51秒と、シードを逃したチームとしては歴代最速の記録だった。
この異常とも言える高速化の中で、日本大学はなぜシード権を獲れたのか。動画では、タイムではなく順位を重んじる戦い方と、生活の積み重ねを土台に戦う新の指導哲学を明かしている。
練習においても「特別なことはしていない」と繰り返す。新が大切にしているのは、派手なポイント練習ではなく、ジョグを中心にした地道な積み重ねだ。距離を踏むことで距離への不安をなくし、全日本大学駅伝の選考で求められる10000m、箱根駅伝予選会で必要なハーフを走り切る力をまず身につける。スピード練習は最小限にとどめ、土台をしっかりつくる。
「今はスピードと言われますけど、故障して長引くと困ります。ゆっくりでも距離を踏めば故障しにくい。まだ土台作りの段階ですから。ある程度できたらスピード練習も入れなければ上では通用しないと思います」
そう語りながら、「1割5分くらいはスピード練習を入れていこうかな」と、シード獲得の次の段階を見据えていることを明かした。
4月には倉敷高校からエース・首藤海翔が入学する。5000mで13分44秒74のタイムを持つ逸材にどのような成長を期待しているのか、さらに、今後のチームをどう思い描いているのか——。

「タイム設定をしない」箱根駅伝の戦い方
このほか動画では、以下についても語っている。
- 「タイム設定をしない」箱根駅伝の戦い方
- 中澤星音主将、大仲竜平副将に寄せる信頼
- 2区で区間2位のS.キップケメイは「真面目で部屋もきれい」
- 「いい方向にいっている」箱根での3年生の活躍
- 5000mの試合に選手が出場しない理由は?
- 学生の悪いところは「神様が自然に教えてくれる」
- シード権を獲得してチームはどう変わっていく?
- 「ポイント練習の強度は弱い」それでも強くなる練習とは?
- 「生活をきっちりすれば強くなる」揺るぎない信念
- “日大は故障者のメニューがえぐい”——噂の真相
箱根駅伝で12年ぶりのシード権をつかんだ新監督の考えが凝縮された40分弱のインタビュー。日大が再び“常連校”へと歩み出す予感に満ちた内容となっている。ぜひご覧ください。(1月26日取材)
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