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「普通にいい馬。それ以上はない」9800万円で落札されたフォーエバーヤングはなぜ世界一に輝き、約30億円も稼げたのか「驚異的な回復を見せるんです」《ホースマンの証言》

2026/01/30
フォーエバーヤング/矢作芳人調教師
種付けから誕生、馴致、せり、育成とデビュー前に携わった者は皆、同じ思いを抱いていた。これほど大成するとは、とても思えなかった――。調教師やオーナー、そして生産者たちの証言から強さの源流を探る。(原題:[ナンバーノンフィクション]フォーエバーヤング「ホースマンが繋いだ世界一へのバトン」)

 世界一への物語は一通のメールから始まった。北海道安平(あびら)町のノーザンファームには、世界中から馬を売り込むメールが毎日のように届く。2016年1月のある日、いつも取引をしているエージェントからすすめられたのは、フォエヴァーダーリングというアメリカの3歳牝馬で、クラシックに挑む予定の現役競走馬だった。祖母ローミンレイチェルはゼンノロブロイの母という血統で、母系にも活躍馬が多い。

「これはすぐ買ったほうがいい」

 代表の吉田勝已が現GM(ゼネラルマネージャー)の中島文彦に言った。即決だった。時間をかけて検討していたら、どこかの国の牧場やオーナーに先を越されてしまう。過去にも一度、「いますぐ連絡しろ」と吉田が即決した馬がいる。ディープインパクトの母となるウインドインハーヘアである。

 こうして、吉田の所有馬となったフォエヴァーダーリングは9戦2勝で引退、初仔をうむためにイギリスへ渡ってフランケルを種付けすることになった。ノーザンファームの関係者が実馬を見たのはこのときが最初だったという。GMの中島が振り返る。

「買う前に映像とか写真を見せてもらったんですけど、馬は見てないんです。イギリスに持って行く前にはじめて見たんですが、スピードもありそうだし、体のバランスもいい。いい繁殖を買えたと思いました」

 イギリスで種付けして日本にやってきたフォエヴァーダーリングは、その後もディープインパクト、ハーツクライと種付けされていく。繁殖牝馬としての期待の大きさがうかがえる。ノーザンファーム場長の津田朋紀(とものり)は「アメリカ由来の繁殖牝馬はすごくポテンシャルがある」と言う。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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