「あそこで1秒切れるか、タイ記録かでは気持ち的にも大きく変わってくるので、今回の結果で報われたな、と思います」
バレンシアマラソンでの2時間4分55秒という日本新記録。鈴木健吾の持っていたタイムを「1秒」縮めるという結果を、大迫はこう振り返った。

3度目の日本新は、SNSやウェブニュースを中心に大きな話題になった。ただ、このバレンシアマラソンはストリーミングでの中継はあったものの、男子トップ集団、女子トップ集団の動向が中心の映像だったため、第2集団にいた大迫の姿は時おり確認できる程度。どのようにレースを進めていたのか。
「第1集団はペースの設定がハーフで61分で、それはさすがに速すぎるな、と。第2集団は62分くらいだったので、今の自分の力であればついていけるかな、と判断して、そこでレースを進めました。実際にスタートしてからも、15名くらいの集団がいい流れで動いていたので、(自分が)頑張って動かしていたというよりは、流れに乗って、リズムで走っている感じでしたね」
リズムというが、1kmあたり2分58秒から59秒のラップを刻んでいく。これは「巡航」と大迫が表現するエネルギーロスの少ない走りだったという。
「最初、エンジンを動かす5kmくらいまではちょっと力を使った感じもありましたけど、大体8km過ぎくらいからはまさに巡航という感じでしたね」
そしてレースは勝負所に差し掛かっていく。25km過ぎで第2集団にいた東京世界陸上マラソン銀メダルのペトロスらがペースアップしたのだ。
その時に大迫傑はどんな判断をしたのか? 日本新記録を意識した地点はどこなのか? バレンシアの高速コースへの印象は? 最後のラストスパートの手応えは? レース中の最大心拍数、そして平均心拍数は? 動画内で会心のレースを詳細に振り返ってもらった。
リーニンの厚底、COROSのタイム予測
今回の大迫傑のマラソンは、ランナーからすると2つのギアという意味でも注目に値した。
まずは所属先となった中国のスポーツメーカー・リーニンの厚底レーシンシューズ「FEIDIAN 6 ELITE」。10月に東京で開催されたレガシーハーフでも着用していたが、今回、初のフルマラソンでいきなり日本新の相棒になった。
「非常にいいシューズだなと思いました。履き慣れていくほど、使い方がわかっていくという感じです。(前足部が)乗り込みやすくて、カーボンの反発も感じましたし、バランスがいいな、と」


そしてもう1つが、ランニングウォッチ「COROS」だ。その専用アプリが持っている「RACE PREDICTOR」という機能が話題になった。最近のトレーニングデータ(タイム、心拍数、走行距離)に基づいて、5km、10km、ハーフ、フルの予想ゴールタイムを算出するというものだ。本人がSNSでも発信していたが、その予測タイムが「2時間4分54秒」と、実際のタイムと1秒しか違わなかったというのだ。
「シンプルにすごいですよね。まぁぶっちゃけ占い的な要素もあると思いますけど(笑)、今後、どんどんデータが蓄積していくと精度も上がってくるかもしれないし、面白いですよね」
パリ五輪前は「オーバートレーニングだった」
インタビュー動画・前編では以下のトピックについても話をしてもらっている。
- メガネの意図「私服の時は…」
- レース前に感じていた手応えは?
- リーニンで変化した「接地」の意識
- ランニングエコノミーは「格段に上がった」
- レース中、腕時計で確認しているもの
- 今の大迫傑の「LTペース」はどのくらい?
- 練習サイクルを「9日」に変えた影響
- 非常識?「レスト」への独特すぎる考え方
- パリ五輪前は「オーバートレーニングだった」の真意
- 提言「効率を求めすぎるな」
変化する部分はありつつも、アスリートしての芯はブレない大迫傑。“らしさ”に溢れた合計40分超のインタビューを続く後編と合わせて、ぜひお楽しみください。
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