駅伝チームを率いる指揮官を動画でインタビューする連載「駅伝監督」に、名城大学・米田勝朗監督が登場。1995年から指揮をとり、全日本大学女子駅では8度、富士山女子駅伝では6度の優勝を果たしている女子駅伝界の名将は、連覇の途切れた2024年、そしてリスタートを切った2025年のチームをどうみてきたのか。米田監督独自の指導哲学に迫った。
NumberPREMIERでは名城大学を徹底解剖。米澤奈々香選手&大河原萌花選手、村岡美玖選手&近藤希美選手、そしてルーキーの細見芽生選手&橋本和叶選手という2人1組での動画インタビューも近日中に公開予定だ。
「負けた方がいい、負けた方がいいって、学生たちに直接言っていたんですよ」
2024年は大学女子駅伝界の“流れ”が変わった1年だった。
前年まで全日本大学女子駅伝で7連覇、富士山女子駅伝で6連覇を果たし、襷リレーで圧倒的な強さを誇ってきた名城大学が久しぶりに負けたからだ。これによって女子駅伝界もどこが勝ってもおかしくない「戦国時代」へ突入し、実際に2024年は立命館大学が2冠、翌2025年は城西大学が2冠と覇権が入れ替わっている。
では、なぜ黄金時代を築いた名城大学は負けたのか。2024年は連覇を支えた谷本七星がキャプテンとしてチームを率い、米澤奈々香、石松愛朱加とルーキー時代から駅伝で主力として走ってきたメンバーも健在だった。主力の故障などもあったというが、それだけが理由ではないようだ。

2025年の年末、チームを率いて30年の米田勝朗監督に話を聞くと、冒頭のように「負けた方がいいと思っていた」という意外な言葉が返ってきた。
「負けなきゃわからないことがある、それくらい今のチームはダメだよという話をしていました。走ることへの取り組み方であるとか、競技に対する想いであるとか、そういったものが勝ち続けたことによって、すごく忘れさられていた。『こんなんでも勝てるんだ』っていう雰囲気がチームの中にあったので、1回負けてこれをリセットしたいな、と」
勝ち続けるチームを「リセット」ーー。これは言葉としてかなり強いものであり、指導者としても勇気の必要な決断だったと思うが、米田監督の頭の中にあったのは、2017年、苦しんだ末に12年ぶりに全日本大学女子駅伝を制した時のチームの姿だった。
「あの時のチームは、練習の前、そして合宿の時も集合の1時間前にはみんな来て、ストレッチとか準備運動をしっかりやっていたんですよ。その雰囲気が連覇を続ける中でどんどん薄れてきて、ギリギリまで寝ているし、練習も与えられたこと以上のことはやらないですぐに帰ってしまう。
真っ先に帰っていくのが、今の(2025年度の)4年生たちだったんです(苦笑)。彼女たちはエリート集団なんですよね。それでも勝ってきたから、正直、『努力』という言葉を本当の意味ではわからないまま、素質だけで中学時代から勝ってきた子たち。だからこそ、このチームを変えなきゃ、と思ったんです」
それでも、米田監督は選手たちを「無理やり軌道修正しなかった」という。それはなぜなのか? また選手たちにはどう受け止められたのか? 動画インタビューでは、その背景にある指導哲学にじっくり迫ったが、米田監督の言葉を聞いているとこれからの名城大に大きな期待をしたくなった。
若い世代の監督たちへの違和感
この春、名城大学には大物ルーキーが加入する予定だ。長野東高校で、都大路3区では見事に区間賞を獲得し、全国優勝に大きく貢献した真柴愛里だ。昨春入学した細見芽生、橋本和叶もトラック種目で大学日本代表に選出されるなど、すでにエース級の活躍をしており、ますます層が厚くなりそうだ。
なぜ名城大に多くの才能が集まってくるのだろうか。もちろん名城大の強さ、米田監督の指導に対する信頼など多くの要素があるだろうが、監督の口から出てきたのは別の理由だった。
「うちを選ぶ理由として、NIKEのシューズを履けるから、という子が結構多いんです。来年入ってくる子もそうですし、NIKEにスポンサードされてシューズを履けるのは名城しかないですからね。それに最初は勝てなかったですけど、駅伝を勝ち続けることでメディアに露出する機会も多くなって、うちの選手がみんなNIKEを履いていますから、それに憧れてくれるというのはあるんじゃないですかね」

動画では以下のようなトピックについても聞いている。
- 「優勝できた」全日本大学女子駅伝の敗因
- ルーキー細見芽生に「頼りすぎた」
- キャプテン米澤の個性
- 谷本七星世代への思い
- 高校生と大学生、指導者から見た違いは?
- トラックのタイムは「過去最高」
- 女子選手のシューズ選びの傾向
米田監督の指導論に迫った21分のインタビュー、ぜひご覧ください。(12月17日取材)
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