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「代表への興味は今は1ミリもない」アントラーズの“金狼”鈴木優磨はなぜ、海外移籍からも代表待望論からも距離を置くのか「それくらい鹿島っ子だから」

2026/01/29
リーグ制覇を果たしたアントラーズで圧倒的存在感を放つ男がいる。海外移籍からも、代表待望論からも距離を置き、ただボールを追う。敵も味方もなぜ、その姿に惹かれてしまうのか。(原題:[代表より海外より、鹿島で]鈴木優磨「金狼、孤高の佇まい」)

 試合はアディショナルタイム5分を残すのみとなった。J1最終節を首位で戦う鹿島アントラーズは1点をリードしている。このまま逃げ切れば、9年ぶりのリーグ優勝が決まる。

 そんなピッチ上でひとり、異彩を放つ選手がいる。金髪を激しく揺らし、ハーフパンツの裾は股関節あたりまでたくし上げている。大きな身体を投げ出すように全力で相手に向かっていくその姿勢は、リーグ制覇を目前にして普段以上に士気の高いチームメイトたちの中でもひと際目を引く。いつも通りの鈴木優磨の姿だった。ボールがタッチラインを割れば「マイボール!」と叫び、両手を大きく広げる。味方が倒されれば激昂し、相手選手やレフェリーに食ってかかる。きっと初めてスタジアムで観戦した観客であれば、どちらのチームのサポーターであれ、最初に目で追ってしまう。鈴木優磨とは、そういう選手だ。

 ただ、鈴木が特別な存在感を放つのは、外見やプレーのためばかりではない。血眼になってボールを追うその目の激しさは仲間たちや敵チームの選手たちと同じではあるが、彼の目にだけは他の選手たち、現代の才能ある若いサッカー選手たちが当然のように抱いている“野心”が見えない。

 クラブチームで活躍し、欧州のビッグクラブへ移籍する。そこでは世界的な注目と破格の報酬を得られる。同時に、日本代表に名を連ね、W杯に出場する――。

 誰もがそんな野心を胸に秘めてプレーしている。もちろん、必死にプレーするのは目の前の勝利のためだ。ただ、その胸の奥には誰もが野心を宿している。当然のこと、当然の権利である。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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