中垣征一郎―。
2004年にファイターズのチーフトレーナーとなり、'12年、ダルビッシュ有のメジャー移籍の際には彼の専属トレーナーとしてレンジャーズへ入団する。'13年からはトレーニングコーチとなってファイターズに戻り、'17年からの2年間はサンディエゴ・パドレスから請われて応用スポーツ科学のディレクターとしてメジャー、マイナーの選手を指導した。
現在はバファローズの巡回パフォーマンスコーチ兼コーチングディレクターとして一、二軍の選手の指導に当たる。野球の投打のなかで身体をどう動かせばいいのか、そのためにどういう体力が必要で、最終的には体力と技術をどう噛み合わせれば爆発的な力を発揮できるのか―中垣は“フィジカルとトレーニング、運動技術”のプロフェッショナルである。
中垣が初めてダルビッシュに出会ったのは今から15年前、彼がドラフト1巡目でファイターズへ入団してきた18歳のときのことだった。中垣にはその当時、ダルビッシュの非凡さに驚かされた記憶がある。
投球の考え方に垣間見たすごさの一端。
彼が高校生のとき、人差し指と中指の先のほうに縫い目を掛けて速いスライダーを投げていたのにそれを打たれたことがある、と言うんです。そこでダルビッシュはどうしたかというと、同じように投げるんだけど、もうちょっと下(第一関節のほう)に掛けるイメージで速度を落としたと言うんですね。確かに物理学の観点でテコの原理から考えれば、先に掛けていたのを手前にすれば長さが変わりますから速度も変わります。そのことを理解した上でそうしたのならそれもすごいことですが、物理の勉強をしてきたわけでもないのに、そういう仮説を立てて野球をやれるところに彼のすごさの一端を感じてビックリしました。
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