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「金メダルは私が刻んできた時間」オランダ修行、古武術…小平奈緒が歩んだスピードスケート“女王”までの道のり《平昌五輪ハイライト/2018年》
満員に埋め尽くされたスタンドに、日の丸が揺れていた。2月18日、江陵オーバル。最速スプリンターの座を競うスピードスケート女子500mで、小平奈緒は全神経を研ぎ澄ましてスタートラインに向かった。1本の滑りにすべてを懸けていた。
静寂。そして号砲。
「スタートではできるだけ氷に傷のない位置を取った。そこが決まればあとは身体が反応すると思っていました」
しかし、わずかに身体が動いてしまった。小平自身も「ミスったと思った」と認めている。だが、フライングを示す旗はあがらない。身体が流れた状態でのスタートになってしまったことで完璧なダッシュにはならなかったが、小平は冷静だった。同走のカロリナ・エルバノバ(チェコ)をすぐにとらえ、100mを10秒26で入った。
最初の小さなカーブで遠心力を加速につなげると、あとは鍛え上げてきたフィジカルのパワーを氷に100%伝えるだけだった。五輪レコードを塗り替える36秒94でゴール。低地リンクの常識を打ち破る記録にスタンドがどよめいた。屋外リンクで行なわれた1992年アルベールビル五輪男子500mの覇者、ウーベ・イェンス・マイの37秒14を上回る衝撃的なタイムだった。
しかし、まだレースは終わっていない。すぐ後の組には五輪2連覇中で世界記録保持者である李相花(韓国)がいた。小平は唇に人差し指を当て、観客に静寂を促した。地元の期待を一身に背負っていた李は得意のロケットスタートが決まって100mをこの日最速の10秒20で入った。けれども、後半の粘りで小平に及ばなかった。
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