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【動画】「前田康弘監督には“自己プロデュース”が…」マラソン・浦野雄平が國學院大で培った“陸上IQ”と白米6杯の均衡策…実業団で伸びる選手の条件は?《後編》

2026/11/05
 日本マラソンを牽引してきたパイオニア、そしてその未来を担う逸材にロングインタビューをしていく動画連載「マラソン未来図」に、富士通・浦野雄平が登場。國學院大學では4年時に出雲駅伝3区、全日本大学駅伝2区、箱根駅伝5区すべてで区間新記録をマーク。出雲駅伝では母校の三大駅伝初優勝に貢献した。そして29歳になった今、マラソンランナーとしても充実の時を迎えている。早々と出場権を獲得したMGCに向けた意気込み、日本記録更新への色気、國學院大學出身のライバルへの対抗心。前編・後編合わせて60分近く、じっくりと話を聞いた。<前後編の2本立て/前編はこちら>

 大学駅伝界をにぎわせたスターが社会人になると、残念ながら、かつての輝きを失ってしまうケースはよくある。そんな中にあって、浦野雄平は大学卒業後、最もコンスタントに活躍している選手の一人だと言える。マラソンランナーとして、日本のトップが狙える位置までたどり着いた。

 では、なぜ浦野はスムーズな成長曲線を描くことができたのか。そのヒントは、國學院大學時代の恩師・前田康弘監督が、大学生だった浦野を評価した一言にある。

「(浦野は)“自己プロデュース”ができる選手だ」

photographs by Hirohumi Kamaya
photographs by Hirohumi Kamaya

 この言葉の意味を説明するために、大学と社会人の練習スタイルの違いに触れておく必要がある。一般的に、大学までは指導者が練習メニューをがっちり組む。一方、社会人になると選手自身が目標を決め、達成するために自分主導で組んだトレーニングを積んでいく形になる。言ってしまえば、大学まで「やらされる練習」をこなしているだけだと、変化に対応しづらい。それが、社会人になってからの“停滞”につながるのだ。

 自分で考える力。動画中で使った言葉を引用すれば、陸上の“IQ”の高さが、浦野には大学時代から備わっていた。それを表現したのが、前田監督の言葉なのだ。

 浦野はこのように説明する。

「まず、結果を出すために何をすべきか、(頭の中で)線で描く。練習メニューについて、(大学時代に)前田さんとはすごく話し合いました。その時は、最初に必ず相手の考えを聞いて、消化した上で、自分の言葉で意見を伝えるようにしていました」

 大学時代から、必要なアドバイスを仰ぎ、自分で練習の方針を決めていた。これを聞いただけだと一見、鼻っ柱が強いだけのように思えるかもしれない。しかし、相手の意見が正しいと思えば、それを受け入れる柔軟さもあった。

 例えば、ある時、國學院大學の「有酸素ベースで基礎を徹底的にたたく」という練習スタイルについて意見を求めると、前田監督はこう伝えた。「スピード練習は、社会人になってから嫌なほどできるから」。当時、既に卒業後の進路に決めていた富士通には、松枝(博輝)や塩尻(和也)ら日本屈指のスピードランナーがいる。浦野は、「確かにな」と納得した。

 さらに、練習方針を自分で決めるだけでは終わらないのも、浦野のポリシーだ。

「すごく大事にしていたのは、言ったことには責任を持ち、結果につなげること。結果が出なければ、好きなことを言って、やりたいことをしているだけのヤツになってしまうので。このような形で前田さんに“自己プロデュース”をしていました」

 三大駅伝では1年時、箱根駅伝6区区間17位だけの結果に終わりながら、4年時には3つの大会すべてで区間新記録を叩き出した男の言葉だけに、説得力がある。加えて、こう続ける。

「そうしたIQが高いかどうかで、社会人になってから活躍できるかどうかが決まると思います」

 動画インタビューでは、「社会人で伸びる選手の条件」について、さらに詳しく語ってもらっている。

大学4年時に箱根駅伝5区を走る浦野 photograph by Yuki Suenaga
大学4年時に箱根駅伝5区を走る浦野 photograph by Yuki Suenaga

周囲に笑われた「異例の取り組み」

「今でこそみんな、何も言わなくなりましたが、当初やり始めた時は笑われていましたね。合宿では、他のチームの選手や監督にも……」

 自分で考え、結果を追求する姿勢は、浦野を異例の取り組みに導いた。いわゆる“食トレ”の一種と言えるかもしれないが、浦野はとにかくよく食べる。米だけで1食600~700g、多い時は1kg食べていたという。米1kgとなると、平均的な茶碗で6杯を超える量だ。これを2年ほど前から続けているのだという。

 もちろん、根拠はある。きっかけは、浦野がチームドクターに意見を求めたこと。「これからマラソンで成功するために、今僕に足りないものは何ですかね」とストレートに聞くと、「マラソン選手は圧倒的に、(エネルギーの)消費と供給がミスマッチしている。まずそれを均そうよ」という意見が返ってきた。浦野は、すぐ実行に移した。

 “食トレ”を始めてからの2年間で、浦野はマラソンに4回挑戦しており、2時間06分台が3回、07分台が1回。それまでは4回走って07~16分台だったことを考えれば、レベルアップし、かつ外さなくなったことが分かる。

 効果はしっかり出ていると言えよう。

photograph by Hirofumi Kamaya
photograph by Hirofumi Kamaya

“MGCシミュレーション”の成果

 動画では次のようなテーマについて語っている。

  • “MGCシミュレーション”の成果
  • MGCまでにもう1本走る「目標は…」
  • 大学時代に培った「立ち返る原点」
  • 上原、伊藤…富士通の後輩と練習する?
  • 溢れる情報を正しく取捨選択するために…
  • 國學院大學の後輩たちへへの期待「印象に残った選手は…」

 質問の一つひとつをかみしめるように淡々と、時に笑み交じりで、前後編で60分近くに及ぶインタビューに応じてくれた浦野。次の男子マラソンの主役に躍り出るだろう男の“今”の姿を、ぜひご覧いただきたい。《前編はこちら》

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