駅伝ファンにはすっかりお馴染みとなった名探偵。出雲駅伝で優勝した早稲田のエースとしても活躍しているが、彼はすでに箱根駅伝の「先」を明確に見据えている。マラソンという種目も難しさと面白さ、そして来年のMGCとロス五輪へ向けて考えていること。前編・後編合わせて52分、日本マラソン界の期待の星にじっくりと話を聞いた。
<前後編の2本立て/前編はこちら。NumberPREMIERでは早稲田大学を徹底解剖。花田勝彦監督、小平敦之、山口竣平、鈴木琉胤、そしてルーキー3名(増子陽太・本田桜二郎・新妻遼己)の動画インタビューを公開中です>
出雲駅伝で16年ぶりの優勝を果たした早稲田大学。各学年にタレントが揃うこのチームで、ロードのエースとして絶対的な存在感を放っているのが、4年の工藤慎作だ。出雲、全日本、そして、箱根駅伝とチームで戦った後には、2度目のマラソン出場を予定している。インタビュー後編では、マラソンランナー・工藤慎作に迫った。

今年3月、箱根駅伝から2カ月後の東京マラソンで工藤は初マラソンに挑んだ。
結果は、日本人5番手(全体20位)となり、ロサンゼルス五輪代表選考会のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)の出場権を獲得し、さらには学生歴代4位の2時間7分34秒の好記録をマークした。
上々のマラソンデビュー戦に見えるが、実は、万全な状態でレースを迎えられたわけではなかった。
「純粋に練習不足です。箱根駅伝が終わった後に体調を崩して、練習ができない期間があった。箱根駅伝の前もかなり不調で、全日本以降は練習を積めていなかったので、筋肉がもたなかったのかなって思います」
工藤は日本人トップ集団でレースを進め、35kmまでは食らいついた。だが、その後、ふくらはぎの痙攣に見舞われ、36kmで大迫傑らが仕掛けた際には付いていくことができなかった。
いや、“あえて付いていかなかった”と表現したほうが正しい。フィニッシュ地点に辿り着くことを優先させ、自らペースダウンし、失速を最小限に食い止めたのだから。彼のそんなクレバーさが垣間見えたレースでもあった。
「初マラソンではあったので、MGC(の出場権)さえ獲得できればいいですし、42kmがどのようなものかを知ることが目標ではあったので、それは達成できたかなと思います」
レース直後の自己採点は「60点ぐらい」と厳しいものだったが、初マラソンから得られたものもまた大きかった。
何より工藤が希望を見出したのが“心肺機能の余裕度”だ。
「42kmに耐えられる体ではなかったが、逆に、呼吸というか心肺系はかなり余裕がありました。そういう意味では(体がマラソンに)適応すれば、もっといけるのかなって、希望も見えました」

工藤の初マラソンは箱根駅伝の延長線上にあった。だが、今季は、駅伝シーズンの先にある2度目のマラソンを見据えて、トレーニングに励んできた。
「東京マラソンの前よりも、圧倒的に(質量ともに)高いものが日常的にできていますし、大きく成長している」
工藤はこう言い切る。2度目のマラソンでは、一回りも二回りも成長した姿を見せてくれそうだ。
“陸上頭脳”で強くなったという自負
動画では次のようなテーマについて語っている。
- 初マラソンで見えた課題と希望
- 東京マラソンのレース時の心拍数は?
- 自らが練習メニューを提案
- 世界のトップ選手を参考に「ストラバで…」
- 次のマラソンは国内?海外?「ファストパスを」
- “陸上頭脳”で強くなったという自負
- 世界のマラソンの動向に着目
- 大学卒業後の構想は?
- 大学生活もラストスパート。卒論は?
工藤の視線の先には常に世界がある。世界のマラソンの動向をチェックしており、工藤の口から世界のトップランナーの名前が次々に出てくるのも、その証だ。また、名前こそ明かさなかったものの、工藤が練習メニューを参考にしているのもある海外のトップマラソンランナーだという。
「そういう選手のメニューを見て、自分に落とし込んでいます。さすがに、完全に同じ消化度ではないですけど、最近はほぼ同じような練習ができるようになっています」
工藤の2度目のマラソンはファンにとっても大きな楽しみだ。だが、誰よりも楽しみにしているのは、間違いなく彼自身だろう。工藤の話しぶりを聞いて、そう感じた。《前編はこちら》
※動画の配信画面は、NumberPREMIERにご入会いただき、ログインをしていただくと本ページ上部に表示されます。他の動画も見放題、記事も読み放題です。
「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
このシリーズの動画を見る
記事


