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【動画】「監督は孤独ですよ」明治大学・射場雄太朗コーチが語る“寮への住み込み”指導と阪神電鉄を辞めて陸上界に戻った理由「キャプテンとして…」「西弘美さんは大反対で(苦笑)」

2025/11/12
正しいことを正しく継続できるチームに――。射場雄太朗コーチは寮に住み込み生活から指導している
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 大学駅伝に挑む指導者に動画でインタビューする「駅伝監督」シリーズ。母校のチーム再建のために今年4月にコーチに就任、大志田秀次監督と二人三脚で指導に当たっている明治大学の射場雄太朗コーチが登場。就任当初に目の当たりにしたチームの雰囲気や、学生からの反発、上武大学や亜細亜大学でもみてきた監督の難しさ、寮への住み込む生活のことなど、明治大のリアルな現状について45分間たっぷりとうかがった。
 NumberPREMIERでは新しいスタートを切った明治大学を徹底解剖。大志田秀次監督の動画インタビューも公開中です。

「私が学生の時は、1個上だと横手(健)さん、木村慎さん、牟田(祐樹)さんで、2個上にも大六野(秀畝)さんはじめ強い世代がいました。競技に対しても、とにかく邁進というか、結果にこだわっていたし、大学で終えるんじゃなくて、実業団も見据えて取り組んでいる選手、先輩が多かった。(コーチとして)今年の春に入って1番最初に感じたのは、4年生が就活ムードというか……一言で言うと、プロというより学生スポーツ寄りになっているかなって気はしましたね。みんな横並び。引っ張っていく選手が、印象として薄かったなっていう」

 この4月、母校・明治大学にコーチとして戻ってきた射場雄太朗は、今のチームの第一印象をこう話す。射場が回顧する学生時代、チームは毎年箱根に出場し、2年時には4位という結果をおさめた“箱根常連校”だった。2017年に卒業してから8年の時を経て戻ってきた今、当時の先輩たちに感じていたような強烈な個性を放つ選手は見当たらなかったという。

 同時に就任した大志田秀次監督とともに二人三脚でチームの再建に取り組んでいるが、思い描くチーム像はやはり強かった時代の明治大学だ。選手がそれぞれに自律して主体的に行動する。そこを最終的に目指すとしたうえで、射場はこう付け加えた。

大志田監督。東京国際大を出雲優勝に導いた名将 photograph by Shigeki Yamamoto
大志田監督。東京国際大を出雲優勝に導いた名将 photograph by Shigeki Yamamoto

「ただ、それを今のチームに求めるのは違うよねと。まずは型を作る。何もないところにいきなり“自主性”と言っても、好き勝手いろんな方向に飛び散ってしまうので、まずは正しいことを正しく継続できるチームにしていこうと。それが生活面だったり、食事面だったり、あとは練習だったり、基本のところを徹底してやっていこうと」

 射場と大志田監督は異口同音に、「厳しいわけではない」と口にする。規則を押し付けるのではなく、選手が納得して行動に移さなければ、本当の意味での改革は進まないと考えているからだ。

 部内の規律づくりも、まずは学生たちに委ねた。「自分たちで決めることで、チームへの当事者意識が生まれる」と踏んだからだ。ところが、キャプテンから上がってきた報告は意外なものだった。

「キャプテンから『話がまとまりませんでした』という報告が上がってきて。(規則を)『大志田さん、決めてください』と……」

 動画インタビューでは、自分たちで規則を決めきれない学生たち、そのときチームの反発がキャプテンに向かったことなど、“再建”の礎を築くにあたっての紆余曲折を語っている。

「来季は骨太なチームに」ビジョンを語る明治大学・射場雄太朗コーチ photgraph by Takuya Sugiyama
「来季は骨太なチームに」ビジョンを語る明治大学・射場雄太朗コーチ photgraph by Takuya Sugiyama

 指導歴8年目の射場だが、ここまでたどってきた経歴は異色と言っていいだろう。

「(大学卒業後は)阪神電鉄に就職しました。大学4年間で競技を全うすると決めていたので、最後の年にキャプテンをやるときも選手としてこの1年だ(と決めていた)し、メンバーに入らなかったとしてもやり切ると決めていたので、一度は納得して引退しました。ですが、どこかで引っかかる部分というか、何かこう、スポーツに携われたらなというのは心のどこかでは思っていました」

 そんな折、上武大学がホームページでコーチを公募しているのを見つけた。最初は“そんなものがあるんだ”くらいに思っていたものが、ずっと頭の中に残り続けたそうだ。

「やりきるって自分で決めたのにもかかわらず、最後の箱根の1週間前にアキレス腱を痛めて、当日変更で走れなかった。チームとしてもシードを獲りたかったのですが獲れずに、キャプテンとしてチームを立て直すというところでもやりきれなかった。もう一度、指導者としてチームを箱根で活躍できるところまで成長させたいなという思いで……」

 学生の頃にやり残したことが、射場を再び陸上の世界に戻したことになる。

 今は、寮に住み込み、文字通り学生たちと寝食を共にしながら指導に当たっている。それも、志願しての寮生活だそう。母校での指導を「仕事ではなくアイデンティティの一つ」と言い、「明治大学の中に自分がどっぷり入っている状態。学生と違ってオンとオフがないので」と笑う。寮での生活も指導も線引きはしない、その姿勢に選手だったころの「やりきれなかった自分」への静かな答えがにじむ。

 動画では以下のトピックについて触れている。

  • 明治大学コーチ就任は1本の電話から「新監督が射場を…」
  • 母校・明治大学に戻っての第一印象は?
  • 寮に住み込んでの社会人生活「つらくないですか?」
  • 休日に出かけた先は「朝4時に起きて…」
  • 大志田監督は「感情に振り回されない人」
  • 「孤独ですよ」将来、監督になりたいという気持ちはあるか
  • 「タイガースファンなのに」阪神電鉄を辞めて陸上界に戻った理由
  • 陸上界に戻ることに反対した際の、恩師・西弘美の言葉とは?
  • 「たかが箱根駅伝、されど箱根駅伝」発言の真意

 監督と選手の間に入り、“兄貴分”として寮生活をするからこそわかるチームの状況を、存分に語って頂きました。ぜひご覧ください。(10月29日取材)

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photograph by Takuya Sugiyama

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